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【南大沢土木構造物めぐり】No.56 お隣の駅・多摩境駅周辺を歩く(前編:駅前周辺)

南大沢から京王線で電車に揺られることわずか約2分。今回の舞台は、隣町である、多摩境駅周辺です。多摩境駅は、過去に紹介した尾根緑道のある長い尾根を越えた先で、町田市にあります。ここは一言で言うと坂の町。標高の高い尾根のてっぺんから、神奈川県との県境に流れる境川の高さまで一気に急勾配で下っていきます。京王線の多摩境駅は、南大沢側はトンネルを抜けたすぐ先の掘割の中にあるのに、橋本側はもう高架構造の駅になっています。表紙の写真は、駅前ロータリーのある橋のところから、高架下まで一気に駆け降りる階段。京王線は、右にカーブし始める頃に神奈川県との境目の境川を越え、最も標高が低くなりますが、その後再び少し標高を元に戻して、ビルの建ち並ぶ橋本駅に向かいます。

多摩境といえば、おそらく八王子近くの人からすると、コストコやカインズホームという、大型店舗やロードサイド型のお店が立ち並ぶ、いつも渋滞している多摩境通りのイメージや、マンションがたくさん建つ新興住宅地のイメージがありそうですが、八王子から横浜まで続く絹の道や、縄文時代の遺跡があるなど、驚くような魅力を持った街です。今回は、この多摩境を掘り下げていきたいと思います。

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今回の探索は、南大沢駅から一駅の電車の旅からスタート。

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南大沢駅も、多摩境ほどではないですが、坂の駅です。京王堀之内駅側は周辺よりも高いところを走っていますが、多摩境側は掘割構造になってきます。

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最後部車両で、南大沢トンネルの姿を撮影。トンネルの中って、なんだかわくわくします。途中に何か所かある待避所の拡幅部などが特徴的です。

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多摩境駅に到着。

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南大沢トンネル。おそらく多摩ニュータウン屈指の本格的な山岳トンネルの一つだと思います。

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掘割の中なので、ここはどんな町かが、あまりよく見えないのがこの駅の特徴でしょうか。

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ここから見ると、マンションが5階くらい余分に高い感じを受けます。

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駅の橋本側に来ました。さっきまでの掘割構造がうそのように、今度は高架構造の駅です。

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駅は掘割構造の側に橋上駅舎があり、それと同じ高さに線路を越える道路橋が架かっています。駅の一部は、道路橋が屋根替わりになっています。

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駅の改札外から見た、掘割部分の駅。

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駅の改札は、駅前広場の一段低い高さにあります。西口の駅前広場は、車のロータリーの下にあるので、屋根付き構造のようになっています。

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うつくしいまち おやまがおか かがやくまち おやま

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地元の保育園の先生たちの作品だそうです。

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駅前広場全体は、少し薄暗い感じがしますが、ロータリーの真ん中は自然光が入る構造になっています。ちょっぴり不思議な憩いの空間。

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駅前のロータリーは、人工地盤のように広く高架構造になっていて、その下に歩行者空間があります。あまりお店が無いので、普段は人影がまばらです。乗降客はそんなに少なくない駅なので、駅の利用者はたくさん通るのですが。もう少し駅前に賑わいができる工夫があっても良いのではないかと思います。

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ロータリーの真ん中のオブジェ。噴水をイメージした石の集団のような感じです。

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この改札前の空間は、道路より1段低いですが、そこに取り付く坂を下るスロープがあります。こういう複雑な空間ができているのが、多摩境駅の特徴とでも言いましょうか。

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複雑なカルバートを抜けた先にも、さらに急坂が続きます。

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カルバートを出た先のスロープ。このつづら折りのスロープを見ると、急坂であることがよくわかります。駅前広場のある橋は、はるかに上のレベルです。

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カルバートから坂を下ったところ。駅のホームの先端を見ています。駅のホームをこんな角度から眺めるのも、意外と貴重なのかもしれません。

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高架橋の下に来ました。駅前の高架下は、自転車置き場です。

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今度は、駅前広場の高さに行ってみましょう。駅は掘割の中腹で、車の走る高さの1段低いところにあり、線路はさらに1段低いイメージです。何となく地下鉄の駅で、B1Fにコンコースがあり、B2Fにホームがあるのと似ています。駅も「A2出口」とか書いてあってもおかしくないつくりです。

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表紙の写真を再掲。本当に急な階段です。左の森は、札次神社です。ここも興味深い場所です。改めて次回紹介したいと思います。

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駅前の公園には、交番建設計画を知らせる看板がありました。まだまだ人口が増えている地区なので、こういう基盤整備が続いているのでしょう。

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京王線を渡る橋には、「高ヶ谷戸橋」という名前が。

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駅前ロータリーの全景。先ほどの人工地盤の上に当たる部分になります。やはりここもお店も多くなく、少々人通りが少ない感じがします。

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ロータリーから続く、多摩ニュータウン通りと立体交差する、町有橋。

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意匠的に凝った作りの橋です。先ほどの人工地盤の下にも歩道がつながっている構造です。

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【1996年1月 東京都建造 上下部施工 清水・清水組JV】

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最後に、多摩ニュータウン通りと多摩境通りの交差点。いつもの交通量の非常に多い交差点です。週末なので、たくさんの車でにぎわっていました。おそらくこれが「いつもの光景」と思っている人も少なくないでしょう。

【終わりに】
今回は、坂道の中にある、多摩境駅とその周辺を紹介しました。地形的に非常に特徴的な場所を生かして駅が作られています。利用者が少なくない駅ですが、駅前に人が集まっていない感じがあり、もう少し活気が出るような取り組みを考えたほうが良い気がしました。
後編では、絹の道や、縄文遺跡などの魅力も含めた、多摩境の町の違った角度での紹介をしています。ぜひ、身近な隣町である、町田市多摩境を歩いて見てください。




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