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【南大沢土木構造物めぐり】No.5 歴史的名橋を移築した優雅な橋 ~長池見附橋~(その1)

長池見附橋。南大沢で土木構造物めぐりをするには絶対に外せない名橋です。長池公園という、多摩ニュータウン内でも指折りの美しい公園の中に架かる、非常に優雅な橋です。もともとは、都内の四ツ谷駅前の甲州街道が旧江戸城の外堀、現在のJR中央線四ツ谷駅を跨ぐ部分に架かる「四谷見附橋」だったものを架け替えの際に古い橋を移築したものです。古い橋は大正時代に架橋され、近くにある迎賓館につながる橋であるため、優雅なデザインとして設計されていたものです。移築した際もその雰囲気そのままに、公園や付近の街を華やかにする存在になっています。

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【旧・四谷見附橋とは】
長池見附橋を紹介する前に、まずそのオリジナルである旧・四谷見附橋の紹介をしておく必要があります。旧・四谷見附橋は、甲州街道(国道20号線)が日本橋から新宿に向かう際に四谷で皇居の外堀を越える場所に作られた橋です。皇居の外堀のスペースを利用して、甲武鉄道(いまのJR中央線)が敷設されたので、四谷見附橋は出来上がった当初から鉄道を跨ぐ「跨線橋」に分類される橋になっています。架橋されたのは1913年(大正2年)であり、外国からの国賓が東京駅や皇居から迎賓館に向かう際に通り道となり、また、東京市電が走るなど、様々な場面で活躍してきた橋ですが、1991年に道路拡幅のために架け替えられました。下の写真は、現在の四谷見附橋の姿です。外堀の下の汽車が走る駅だった100年前とは変わり、中央快速線と総武線の電車がひっきりなしに走る複々線の四ツ谷駅のホームを跨ぐ跨線橋になっており、駅の上には駅ビル(アトレ四谷)も建ったため、以前と比べて橋の存在感は減り、2代目の橋は近代的なものに変化しましたが、旧橋のデザインは至る所に踏襲されています。

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【長池見附橋への移築】
旧橋は撤去するのが惜しいくらいに美しい橋であったため、新たに開発される多摩ニュータウンの長池公園内に移築されることが決定し、ここに再架橋されたものです。旧橋の部材は、一部が新たな長池見附橋に転用され、使われなかった部材は公園内に展示されています。長池見附橋は、旧橋の持つ優雅な雰囲気をそのまま再現し、長池公園や周辺の街にいろどりを添え、街のシンボルとして再生し、今も道路橋として生き続けています。

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【橋の魅力】
この橋の魅力は、下記のような要素で構成されていると思います。
 1)鋼材で組み立てられた、優雅なアーチ形状
 2)鋼橋の両側のレンガならびに石材で装飾された橋台
 3)迎賓館のデザインを意識した、優雅な街路灯や高欄
まず、優雅なアーチ形状は、遠くから見ても、近くから見上げても飽きを感じさせないような素晴らしい造形美を感じることができます

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橋台についても、レンガや装飾された石、その上部の橋詰広場のような場所など、どれを取っても優雅な雰囲気があり、主役であるアーチ橋を引き立たせ、彩りも鮮やかにしてくれる要素であると考えます。

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高欄部分も、シャンデリアのような優雅な街路灯や、きれいな装飾の施された手すりが特徴で、真ん中に右側から「よつやみつけはし」という平仮名と、「四谷見附橋 大正2年」と書かれた銘板が飾られているのが非常におしゃれです。

この四谷見附橋、まだまだ魅力を書ききれない部分があります。その魅力を続きに書きました。(久々の更新です。)こちらもご覧下さい。


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