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短歌 「千葉県での君との暮らし」

~旅する日本語に捧ぐ~

お互いに相手を制御していると思い込んでる已己巳己夫婦

歳暮れて正月料理の作り置き買い出しをしてやっと弥立つ

君の好きな海鮮シチューハンバーグ君の笑顔で今日が色節

生一本ドラクエタクトに打ち込んでうつむく君を私は見てる

家事終えて車で海まで二十分コーヒー片手に気散じの旅

催花雨が降るころバイクを修理して花見に行こう二人乗りして

結婚して八年たったお互いにだいたいわかる袖摺れの仲

ほとんどを話し合いにて決めるからケンカにならない寧静の日々

食べ放題端から端まで取ってきて喉鼓打つ君のおごりで

休日に君が私をじっと見てニヤリと笑う何かの萠芽

じじばばになったら二人で手をつなぎ散歩するのが睦ぶ約束


「已己巳己」(いこみき)・・・(字形が似ていることから)互いに似ているもののたとえ。
「弥立つ」(いやたつ)・・・いよいよ心を奮い立たせる。
「色節」(いろふし)・・・晴れがましい行事。
「生一本」(きいっぽん)・・・心がまっすぐで一途に物事に打ち込んでいくさま。
「気散じ」(きさんじ)・・・気晴らし。
「催花雨」(さいかう)・・・春、花の咲くのを促すように降る雨。
「袖摺れ」(そですれ)・・・袖がふれあうほどの近い関係。
「寧静」(ねいせい)・・・世の中が平穏なこと。心が安らかで落ち着いていること。
「喉鼓」(のどつづみ)・・・食欲が盛んに起こること。喉が鳴ること。
「萌芽」(ほうが)・・・物事がはじまること。
「睦ぶ」(むつぶ)・・・仲良くする。むつまじくする。

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