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ふうりんそうの詩

「小説家になろう」に旧姓斉藤友美で投稿していたものを修正しました。現在は「小説家になろう」では公開していません。

 雨上がりの清らかな空気の中で、新緑に残った雨粒がきらめいている。空は明るく澄み渡り、どこまでも青く広がっていた。梅雨の中休みの晴れ間を楽しむように、校庭の端を野良猫がゆっくりと歩いていく。

 放課後のショートホームルーム。教壇では担任の教師が今度行われる三者面談の説明をしていた。その話を聞くともなく聞きながら、私、渡辺千夏はぼんやりと外を眺めていた。

 校庭の花壇には濃いブルーの紫陽花が咲いている。その花は可憐で、ずっと見ていても飽きなかった。私は、雨に濡れる紫陽花もおもむきがあっていいけど、日差しを反射して輝くような紫陽花もいいな、などと考えながら、ショートホームルームが終わるのを待っていた。

 担任の話の最後に進路希望の用紙が配られた。第一志望から第三志望までを書き込んで、明日提出しなくてはならない。その用紙を見つめながら、私はため息をついた。

 高校三年の夏。もう進路を決めなくてはならない。けれど、私はまだ迷っていた。

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