愛知県美術館 古代エジプト展
美術館が好きだけど美術館手帳に記録をつけるのを毎回忘れる程度にはズボラなので、展覧会の記録を残したくて書いてみた次第。
愛知県美術館は、大衆ウケするテーマを扱っていたとしても、アカデミックな視点もきちんと盛り込まれていて、学のある"分かっている人"が作っているなあと感じる。展覧会にボリュームがあって、観賞後の満足度が高いので好きです。
わりと高めの信頼がある。※個人的見解です
『古代エジプト展』について
オランダのライデン国立古代博物館のエジプト・コレクションから250点を展示した展覧会。棺やミイラが目玉の展示になっているためか、死者の弔いに関する展示品が充実していた印象。
私の文章よりも100倍丁寧に解説されている公式サイト。(この記事の意味)
展覧会に行くひとに伝えたいこと
①音声ガイドは絶対あったほうがいい
ヒエログリフを耳から聴くという稀有な体験ができます。
作品の細部の説明も丁寧にしてもらえる。ヒエログリフの意味とか。
超絶良い声でヒエログリフを音読してもらえるのは古代エジプト展だけ!!!どんな薦め方??
②エジプト神を知ってると楽しい
最低限、オシリスが識別できるといいと思います。テーマ上、冥界の神オシリスはよくいる。
記憶が正しければ、アヌビス、ホルス、ラー、セト、トト、バステト、セベクはいた。(たぶんもっといろいろいる)
オシリス。
※画像はWikipediaより
余談ですが、展覧会をみて、エジプト神と恋するゲームをかつてプレイしてたことを思い出した。推しはアヌビスです。エジコイにはオシリス先輩もいます。
セリフにときめく以前の私服のセンス。
展示構成について
展示構成はめちゃめちゃざっくりですがこんなかんじでした。最後にクライマックスを持っていくパターンですね。
①発掘調査に関連する展示
↓
②エジプトの宗教に関連する展示
↓
③死者の書と埋葬品に関連する展示
↓
④棺の展示
↓
⑤ミイラの展示
鑑賞中は気づかなかったけど、外堀から埋めて行ってだんだん展覧会のメインであるミイラに近づいている構成だったのだな。
個人的にはエジプトの解読のはじまりであるロゼッタストーンで展示が始まり、最後に今の最新技術を駆使したミイラの展示で終わるのが、エジプト研究の過去→現在への至りを示されたようで胸熱だった。
ロゼッタストーン
※画像はWikipediaより
展示されているのはレプリカでしたが、写真でみるより現物のほうが凄みがある。
個人的な見どころ
①死者の書
死者の書とは、古代エジプトで死者とともに埋葬された文書である。死者が神のいる楽園へ行くための道案内の役割を果たす。
「ネスナクトの『死者の書』」(部分)
※画像は展覧会公式サイトより
死者の書を見ると古代エジプトの死生観がかいまみえる。死後に心臓を秤にかけ審判を受けることは、地獄で閻魔様に裁きを受けると思っている日本の死生観とも似ているなあと思った。
個人の主観ですが、音声ガイド必須。たぶん私が何か言うより音声ガイドつきで現地で作品見たほうがいい。パディコンスの死者の書は特に…
ヒエログリフと描かれているモチーフを見比べることをおすすめしたい。音声ガイドを聴いた上で細部までみると発見があって楽しい。
エジプト絵画、原色っぽい色使いが多いなとはおもってたけど、色にも込められた意味があることを初めて知ったので面白かった。
②棺の部屋
棺は本来横に置くものだけど、縦にして展示されていて、しかもいっぱいあるので迫力がすごい。
※画像は公式サイトより
上はライデン国立古代博物館の常設展示の様子。
愛知県美はさすがにもう少し少なめですが、ぜひ自分の目であの空間を体験して欲しい。
縦に置いてあると、横に置かれているよりも棺の装飾を細部まで鑑賞しやすい。様々な神様が描かれていて、じっくり見れば見るほど発見がある。
しかも棺の蓋は別個で展示しているので、棺の中の装飾も見える。中までごりごりに装飾されていることがよくわかる。年代ごとのデザインの変化を追っていくのもまたよし。
③ミイラの部屋
人生で本物のミイラを見られることがそうそうあるだろうか、いや無い…
しかも最新技術により、ミイラをスキャンすることで包帯を取らずに中のことが調べられるようになった。
※画像は公式サイトより
完全に絵面が健康診断である。
展示室で我々はミイラの外見と中身を同時にみることができるし、ミイラの中の人の年齢や健康状態、復元された顔さえも知ることができる。
この部屋、最新の科学技術の叡智がつまっていた…。考古学もここまできたのだなあという境地に至りました。
グロ耐性があれば、ミイラのつくりかたもパネルで詳しく説明されているので一見の価値あり。ミイラを作る仕事、神職が行うものだったそうだけど、本当にメンタル強靭じゃないと無理。
ちなみに16:00〜の回で入って18:00にエジプト展を見終わったのでコレクション展まで回れなかったのが心残り。会期中にそちらも行きたい。
正直この記事で拾えてない内容もあるし、専門性がないので、ただの一般人の戯言ですが。
なかなか観る機会がないものをたくさん見られます。12/6までにぜひ。
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