見出し画像

『ボクたちはみんな大人になれなかった』映画感想メモ

久々に映画の感想を書いたら怪文書と化した。後半からネタバレ

・かおりちゃん、「普通」の概念に故郷の村でも焼かれたんですか??ってかんじだったけど、
紡ぐ言葉にセンスがあって、佐藤との出会いから別れまで徹頭徹尾尖った女で最高だった

・伊藤沙莉さんどんなに尖った服を着ても可愛いのは才能

・関口がチャラくてキュートでとてもよかった

・東出さん、不倫報道を経て演技に磨きがかかった気がした(怒られそう)

・「私絶望してるひと見つけるの得意なんだ」って儚くて影のある可愛い子に言われる出会いから始まる恋、正直性癖に刺さる

・スーちゃん、総じて私の好きなタイプです…

・森山未來さん、20代と40代の佐藤の「老い」の演じわけがすごくて本当に同じ森山未來が演じているのかちょっと疑う(彼なら可能なのは知ってる)

・20代の佐藤がマジックテープのお財布バリバリィってする場面の最悪さ、支払いは俺に任せろ!の絵面が森山未來でリアルに見れると思わなかったし、佐藤ならやりかねんなという気持ちしかなくて面白かった

・完全に私情なんですけどゴミ捨て場で笑ってる2020年軸の佐藤が最愛の元上司と絶妙に似てて心の致死量ギリギリだった(元上司のことをなんだと思っているのか)

・本作、終始音楽の使い方がうまい…
タクシーの場面は言わずもがな、ドライブの場面もエンドロールの曲も大変よかった
たぶん小沢健二が好きだったらもっと楽しめる

・もうすこし世代が上だったら懐古としても楽しめそう。各時代の小物やら美術の作り込みすごかったので劇場で空気感に浸って、配信で細部を楽しむ映画だなとなった

・それはそれとして離れた人とのコミュニケーションが25年の間に文通→SNSになるのめちゃくちゃこわい。時代の速度が。

・カルチャーにひたる男女の出会いと破局を描いた作品という意味では『花束みたいな恋をした』を思い出したので、両作品を比較した他人の感想が私は読みたいです 他力本願!!


※以下ネタバレと妄言

・原作未読で鑑賞したのですが、構成めちゃめちゃよかったな〜と思った
過去→現在の時系列で観てたら時間の経過として当たり前に処理してしまうような事象が、現在→過去の時系列で観ることで伏線回収みたいになって頭フル回転してた!楽しかった〜
タクシーの中で曲とともに一気に時間が巻き戻ってはじめて、「これをやるためにこの構成にしたのか!!」って構成意図が見えたの大変気持ちがよかったなあ〜

現在→過去に戻る構成にしたうえで、一周まわって現在に戻ってきて、テーマとして「過ぎた時間には戻れない」ことを突きつけてくるのすごくないですか!?

・佐藤の「結婚(前提の同棲)」の切り出し方が「普通」でおもんなかったからかおりは佐藤と関係切ったんかなとおもってて、
でも佐藤はかおりに結婚という行為を「普通」って言われたと思ってるから恵と結婚することを忌避してたようにみえたので、
かおりの言葉に囚われ続けている佐藤とその巻き添えを食った恵、哀れだな…と思いました

・かおりがバーバリーのシャツを着た佐藤をみて、人と同じ服を着ることを批判してたことを考えると、かおりと結婚する(=普通の人生のレールに乗る)ことで「安易に人と同じことをして普通をやろうとする」佐藤にげんなりして関係を切ったんかな〜とも思う

・これは完全に妄言なんですけど、かおりが「普通」を忌避してたのって自分への自信のなさの裏返しじゃないかと思っている
佐藤と出会った頃のかおり、世の中にとけこめなくて自ら「普通」を拒んだ行動や服装をすることで自分を守ってたようにもみえる
一方佐藤は自らの鬱屈や自信のなさを、かおりを彼女にすることで埋めていたかんじがする 
(私の発想が)最悪〜〜〜

・これも妄言なんですけど、かおりが面白いって言って愛してた佐藤って独特なペンネームの元ネタが通じたり、毎日カレンダーに×をつけてたような、いわゆる「リア充」とは離れているようなひねくれたところのある人間だったのかなと思う かおり自身もそんなかんじするから…あと私がそういう人間が好きなので…
かおりと私の人間の趣味が同じかは分からんが

・我々の目に届く宇宙の星ははるか昔の星の光だというけれど、現在に至るまで佐藤は過去のかおりをみつめていると思うと、佐藤とかおりの関係は人間と星の関係に似ている
ラブホの内装が宇宙なのってそういうこと??

・ラスト、かおりに最後に言われたセリフをもう一度自分で「ほんと、普通だな」って言ったところで佐藤はかおりへの未練と決別して(精神的な意味で)大人になったのだと解釈している
だから最後にタイトルの、大人に「なれなかった」が消えたのかな〜と

・子供のときって理由もなく特別な何者かになれるような気がしてて、そこから大半の人間は自分が何者にもなれないことや「普通」の人間であることをいつか悟って受け入れると思うんだけど、その瞬間ってある種「大人になる」瞬間だよな〜と思う 何者かになれる側の人間がどうなのかは知らん

・ボクたちはみんな大人になっても戻れない時間を抱えながら人生を歩いてゆくのだなというきもちでいる(タイトル長)

以上!
今年はあと『空白』の感想と今年観た映画4選の話をして終わりたい予定です

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?