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コンテンツの感想たち。

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1ヶ月に1回ジャンルを問わずコンテンツの感想を書いています。
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記事一覧

Playdead『INSIDE』感想

映画でも漫画でも、ホラー系の作品が苦手だ。きっかけをはっきりと覚えていて、子供の頃に観た『隣人13号』という映画の描写がトラウマ過ぎてそれ以来“それっぽい”匂いのする危うい作品には近づかないことを心がけて生きてきた。 怖くて今でも見れない。 ゲームに関しても、グラフィックで評判の良いホラー作品があると悩んで悩んで結局ゲーム実況で満足してしまうことが多い(実況者の明るい反応を聞きながらでないととても見れない作品もある)。そんな中、ホラー要素がまあ耐えられそうで前評判がとても

コンテンツ感想「兎が二匹」

とりあえずサクッと泣きたいような時、観たり読んだりするコンテンツというのがいくつかある。2巻完結の漫画、『兎が二匹』(山うた、新潮社)もその中の1つである。不老不死の女性と、その女性と一緒に暮らす青年の話。 不老不死設定というのは小説や漫画の中でやり尽くされたネタのようにも感じられるが、代表的な作品はというと意外と思いつかない。最近だと漫画『亜人』や『不滅のあなたへ』などはここに該当するだろう。しかし彼らには(少年漫画ならではの)与えられた使命や戦う相手が存在する。対してこ

ストーリーテリングの未来を感じるゲーム『Florence』感想

たまたま時間が空いたので、DLして以降「積んだ」ままになっていたiPadのアプリゲームをやってみることにした。前評判によれば、ゲームだったかアートだったかとにかく何かしらの分野の賞を受賞していて、可愛らしいイラストや音楽へのこだわりが高い評価を受けているとか、そんな感じのゲームだったはずだ。 「はじめから」ボタンを押してすぐに、説明もなくお話が始まった。なんとなくそれっぽい場所をタップしていくだけで次々と場面が移り変わっていく。なるほどこのアプリは初見でも直感的に操作できる

初めてちゃんと観るジャッキー・チェン。『プロジェクトA』感想

最近、SASUKE→ジャッキーちゃん→ジャッキー・チェンという少々独特なルートでコンテンツにハマっていって、映画『プロジェクトA』にたどり着いた。 全く世代ではないので、ジャッキー・チェンという人物は知っているものの、作品は小さな頃に『酔拳』と『ベスト・キッド』を見たような見てないような、という程度の知識レベル。 大人になってから初めてきちんと観るアクション映画だった。 まず驚いたのは、単純に人数の多さ。これだけの役者を集めて指示を出すのも大変だろうし、演者がこれだけいる

Dr.ハインリッヒの漫才感想〜『トンネルを抜けると』を中心に〜

「トンネルを抜けると、そこにはめっちゃデブのイワシがチャーハン食べてたわ」 「え、どれくらいのデブ?」     ———— 漫才『トンネルを抜けると』 嘘をつくことが基本的に良しとされない世の中だが、どういうわけか創作の世界でだけは嘘が積極的に受け入れられている。 しかし、漫才という分野における嘘は取り扱いが難しく、M-1グランプリの審査コメントなどを見ていると、語り手の人間性が見えない漫才は減点にはならずとも決して加点対象にはならない。素人ながらに、主流の漫才を作るには自