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アフリカ×日本の息子が「うんこ色」と言われた話

長男の小学校入学からもうすぐ1年が経つ。

今思い返せばあんなこともあったなぁ、と笑える話ではあるけれど、あの時は私も長男も本気で悩んで涙してたくさん考えたことだった。

当時メモ書き程度に残していたエピソードを書いてみたいと思う。



日本人の母親(私)とアフリカ人の父親を持つ息子。

褐色の肌に、クセの強い髪の毛、おーきな目と、日本人の中に入るとカナリ目立つ存在。本当ーに夫にそっくり。

親の私としてはもうめちゃくちゃ可愛い。我が子だもんな、当たり前か。


長男の入学した小学校には、同じ保育園出身のお友達はひとり。学区外の小学校に入学したこともあり、顔見知りの近所のお友達もなし。

保育園のお友達とは生まれた時から一緒のようなものなので、もちろん外見の違いでからかわれたりすることは皆無、息子自身もあまり他のお友達とは違うという認識を持たずに育ってきたように思う。

ところが小学校に入学すると、息子の事を初めて見る子が多数。

そうなるとどうしても彼の外見が気になる、それはよくわかる。

母としては、外見のことでからかわれたりして嫌な思いをするんじゃないか、というのが入学前からとても心配だった。

そしてそれがきっかけで「学校行きたくない」なんてことになってしまったらどうしよう…とか変な方向に考えてしまったり。


一応小学校生活が始まる前に

「なんで君の肌の色は黒いの?」
「なんで髪の毛がくるくるしているの?」
「なんで名前がカタカナなの?」

などと言われたときの受け答えは、息子と相談しながらこんな感じで言おうねというのは考えていた。



そして始まりました、初登校日。入学式より前に、4月1日から学童に登校です。

初日帰宅後、しょんぼりしている息子。
聞くと、学童にいた児童複数人(すべて男子)から

「肌の色が黒いから汚い」
「お前の色はうんこ色だ」
「モジャモジャの頭が変」

などとからかいの対象となり、笑われたそう。

来たか…。初日から来たか…。そしてきっと来るだろうと思っていてもやはりかなり傷つく…。

それを聞いたときの私の気持ちとしては、今すぐ学童に怒鳴り込んで、そんなこと言ったヤツの胸ぐらつかんで「どの口がそんなこと言ったんじゃ!」と言ってやりたい気持ちでしたよ。(幼稚過ぎる。でもそれが本音。)


でも私も大人なので
「何だそれ…!」と若干怒りを隠せなかったものの
「それは嫌な気持ちだよね。悲しくなるよね。」と涙する息子の気持ちに寄り添いぎゅっと抱きしめた。

「あなたはそれに対して何か言ったの?」
と聞くと
「『うるさい!』しか言えなかった。」と。

「本当、うるさい!だよな。そんなこと言われる筋合いないもんな!学童の先生たちは見てたの?それか報告した?」

「先生たちは何も言わなかった。」(現場を見ていたのかは不明)


うーん、そうかー、うーん、うーん…。こういうときはどうすりゃいいんだ。どういう対応するのが正解なんだ…。

息子に対しては?学童に対しては?からかった子に対しては?

初めての経験に戸惑う私。そんなこと言われるだろうな、なんて想像はしていたけど、いざ言われたときの対応までは全然考えていなかった。甘すぎた。


息子がかわいそうで、悔しくて、息子のいないところで涙が溢れてくる。
くっそー…。

感情的になってきちんとした判断ができなくなりそうだったので、夫と頼れるママ友グループLINEで報告。


夫「来るとは思っていた。今度学童に話しに行く」アッサリ。ソレダケ?


ママ友①「なんだそれ!許せない!学童に即報告!その子の親にも連絡して、謝罪してもらうべし!」

ママ友②「ひどすぎる!パパに学童に乗り込んでもらったら?職員も子どもたちも少しビビるんじゃない?」

ママ友③「嫌な思いしたね。その子たちも長男くんに興味はあるけど、ハーフの子見たことなかったりで、どうやって近づいたらいいのかわかんないのかも。」

うん、どれもわかるし共感する。


周りの声をもらって私も少し落ち着き、まずは息子の心のケアと、からかった子たちと同じレベルではなく、少し上に立って物事を見られるような説明を優先。


知らない子ばかりの中で頑張ろうと思ってたのに、いきなり嫌なこと言われてとても傷ついたよね。

ママもそれを聞いて、とっても悲しい。

もしかしたら変なこと言ってきた子たち、長男くんみたいに外国に行ったことないのかもしれないよね。

あなたはハワイやシンガポール行ってさ、色んな色の肌の人がいるの知ってるじゃん?ダディの国では肌が黒い人ばっかりだしね。ハワイもシンガポールも日本語喋ってる人あんまりいなかったじゃん?

でもさ、外国行ったことない子たちは、日本から出たことないから、そんな広ーい世界があるって知らないんだよ、かわいそうだよね。日本人の肌の色がフツーで、日本語で喋ることがフツーだと思ってるんだよ。日本人だって外国に行ったら「白い!」とか「黄色い!」って思われることあるのに。

だから教えてあげて、見た目で人をからかっちゃダメだよって。君たちだって日本の一歩外に出れば他の人と違うんだよ、って。


まぁ1年生男子の世界でこんなこと言ったって「は?」と思われるだけだろうし、本当に教えてあげてほしいというよりは、からかわれて劣等感を感じている息子に、「あなたはそんな存在じゃない、彼らより一歩上に立っているんだ」と伝えてあげたくてかけた言葉。

ちょっとスッキリした顔で「うん!」と言ってくれたからまぁよしとしている。


あとは嫌なことは「嫌だ!もう言うな!」と怒って伝えること。そして同じようなことがあったら学童の先生に報告するように伝えた。



そして翌日、学童の職員さんたちには前日あったことを伝えて(息子から聞いた名前も報告)、同じようなことがあったら注意して頂けるとありがたいです、と丁寧にお願い。

(まだ登校2日目ですからね、職員さんたちにもやっぱりある程度気を遣います。やっかいな保護者だと思われたくないのも正直ありますからね、はい。)

学童サイドからも、

「気づかず息子さんに嫌な思いをさせてしまってすみません」と謝罪あり。注意して見ておくようにしますと言って頂いた。



書くのを忘れてしまってたけど、LINEで

「来るとは思っていた。今度学童に行って一言言ってくる。」

と落着いた反応を見せていた夫は、実際その数日後仕事を早退して息子を学童に迎えに行ってくれ、学童の職員と少し話をしたそう。(拙い日本語で頑張ってくれたようです)

かと思ったら、息子に対しては

「嫌な事言ってきたやつには、まずやめて!と伝える。それでも言い続けたらパンチをくらわせろ。」

と、ちょっと「え」と言いたくなるようなアドバイスしてましたが、一応父親の顔を立ててここは私は何も言わず。

その後もしばらく毎日

「今日は誰かに何か言われなかったか?」

と毎晩息子に確認し

「覚えてるよな、言ってもわからないヤツにはこれ(拳を見せる)だぞ?」

と伝えてました。

私が完全に賛成するかは別としてこれが彼なりのやり方なんでしょう。



その後も、数回ほど学童の職員さんから、

「外見に関してこんな嫌なことを言われてしまって息子君が泣いてしまいました、すみません。言ってしまった本人には厳しく注意しておきました。」

と報告もありました。


また一週間ほどの学童生活のあと、学校に入学し、学校生活が始まったばかりの頃にも、似たようなことが一度ありました。

そのたびに息子と寄り添い、たくさん話し、必要に応じて学童や学校にも共有しました。


でも、そういったハーフ息子の外見に対するからかいはヒートアップすることなく、割とすぐ落ち着いたんですよね。

というのもその理由として、息子のアフリカン譲りの運動神経の良さが役に立ってくれたんじゃないかと思っていて。


うちの子は走ることが大好きで、足が速め。だから学童や学校の休み時間に鬼ごっこが始まると、走るのが速い息子はたちまち一目置かれる存在になった様子。

あいつ走るのはやっ!
あいつすごい!と。

一年生だけでなく、上級生にも知ってもらうようになり、たくさん遊んでもらうようになったみたい。

小学生時代には足が速いっていうのはかなりトクをする要素のよう。


そんな幸運もあり、深刻化することなく収まってくれて本当に良かった…。

今では最初に息子をからかったやんちゃ男子たちともとっても仲良し。私もその子たちのことをよく知っているけど、本当にかわいいまだまだ幼い1年生男子。やっぱりそんなもんなのかもしれない。


でも、からかいが悪化したり継続するようなことがあったら、学童や学校に児童や保護者に強く伝えてもらう、必要に応じてこちらから直接先方の保護者と話したいと伝えるなどしようとは思っていた。


少し昔ならハーフはいじめられしまうもの、仕方ない、と思われていたのかもしれないけど、それはあってはならない固定観念だと思う。

どんな外見だろうが、どんな国籍だろうが、どんなハンディキャップを持っていようが、のびのび学校生活を楽しむ権利はどの子どももみんな平等に持っているはず。

その権利を脅されることがあるなら、モンペと言われようが何だろうが、親が出られるところはこれからもガッツリ出ていくつもり。



今でも思い出すと胸が少しぎゅっと苦しくなる、そんなエピソード。

まだまだ寒いけどもう2月、また春が来るなぁ、あれから1年か…と思い出して記しておくことにした。

これからも長男の小学校生活が楽しいものでありますように。

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