見出し画像

福祉美容をかっこよく!株式会社 Hearts美容師の廣田純也さん【後編】

前編はこちらから↓

この記事は、一般社団法人チャーミングケアの運営している音声配信番組チャーミングケアのてんやわんやのインタビューを文字起こしした記事になっています。
音声でお聞きになりたい方は上記記事よりお聞きください。
*以下2020年5月24日当時の情報を元に文字起こしを行なっておりますので、ご了承ください。

石嶋:
今日もチャーミングケアてんやわんや、よろしくお願いします。
引き続き株式会社Heartsの廣田純也さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。

廣田:
お願いします。

石嶋:
先週は色んな話を…うちの息子の話も交えつつ、廣田くんの見た目と中身が違うよね、なんて言いながら!
お話を伺って疑問に思ったことがあって。以前廣田くんが「僕ね、ソーシャルビジネスという言葉をよく知らなかったけど、そういったものがあると知ってからすごく興味があるんです。」とおっしゃったんです。それがすごく印象に残っていて、なぜそういうところに気がついたのかそういうところにスポットを当てて、なぜ自分の本業以外でやっていこうと思ったのかを聞かせてもらえませんか?

廣田:
多分その頃20代後半で、それまでは自分のためにバリバリ仕事を頑張ろうという意識でやっていたんですけど、自分がやってきた経験や技術というものをもっと違う形で活用できないかと思ったタイミングだったんです。
ちょうど「ソーシャルビジネス」という言葉をネットとかで目にする機会が増えて、僕なりに理解をして自分ができるソーシャルビジネスってなんだろう、と考え始めたのがそもそものきっかけでした。
最初に関わったのは児童養護施設だったんです。そこにいるこども達は大人のことを信用しきれていないことも多いらしく、施設の人からは「大人に対してトラウマを抱えている子も少なくないので、接し方に気をつけてください」と緊張感のある言葉が多かったのですが、実際に接してみると全然そんなことなくて。
いざ鏡に向かい合って髪の毛を切った時の顔だったり、その後の僕に対する接し方とか、すごく喜んでめちゃくちゃ笑顔を見せてくれたことが、僕の中で、美容にはそういう力があるんだ、と改めて知るきっかけになったんです。
僕が20代前半の頃に感じた、売上とかとはまた別の、髪の毛を切ってお客さんを喜ばせたいという本来の美容師として目指したいところがあって。それで、養護施設で関わった子達以外にも、笑顔を作り出すということがどんな人達に通用するのかを考えたことが最初のきっかけだったと思います。

石嶋:
児童養護施設の話、言ってたね。
私が以前ラジオに呼んでもらったときに、入院しているこども達が見た目の問題でちょっと心が明るくなったりだとかするんです、って話をしたら「実は僕も、こうなんです」って聞かせてくれた。
立場は違うかもしれないけれど、やっぱり人の心を明るくするところって、かわいいとかかっこいいって、別に状況は関係ないですもんね。

廣田:
チャーミングケアのカテーテルカバーをもっとおしゃれにしたいとかこどもを笑顔にしたいっていう話を聞いて、やっていることは違うけれど目指すところは一緒だなと思いました。
こどもは素直だから、わかりやすいじゃないですか。

石嶋:
わかりやすいし、みてますよねめっちゃ。大人のことを。なめちゃいかんよ、本当に。

廣田:
そう思います。
中途半端な偽善は通用しないじゃないですか。
正直な心で接しないと伝わらないと思うので、結構緊張します、僕は。

石嶋:
私ね、自分の息子はこどもなんだけど、尊敬しているところがあるんですよ。
やっぱり病気を抱えていたり、家族とか一年もバラバラになっていると、もし自分がこどもの立場だった時同じように我慢できただろうかとかそう思うと、この子すげえな、と思うんですよ。

画像1

廣田:
すごくわかります。
ぼくも、ファッションショーとか色んなところで色んな障害を持った方々に出会うんですけど、僕がいつも勇気をもらう感じです。

石嶋:
本当だよね。
去年(バリアフリーフェスティバル)の佐藤くん、あの子よかったよね!めっちゃ大好きやわ。
目がちょっと見えづらいのと、発達障害もあるのかな?だけどめっちゃ性格いいし明るいし、スっと人の懐に入ってくるのが上手というか。

廣田:
息子さんとのやりとりが最高でした!

石嶋:
病気とか障害とか関係なくこどもとか大人とかもとっぱらって、人として尊敬をもって接するべきだなと思いましたね。
廣田くんも言ったように、教えてもらう部分がすごくある。私も最初は子育てなんて初めてで、完璧なお母さんとかとてもじゃないけどなれやしないから、子供から教えてもらったことがたくさんあります。

廣田:
そうですよね。
そういう子と接することによって、大人って本音と建前があるけど、建前っていらないなって。
本音でぶつからないと人には伝わらない、と思うことが増えましたね。

石嶋:
わりと子供達はそれをわかってるよね、ばれるしね。
廣田くんとはそういったところで相通ずる部分もあるのかもしれないね。
この音声を録る前に少しお話ししていたんだけど。ソーシャルビジネスって、原体験が必要と言われたりするんです。私でいうところの、子供が病気になったこととか。私はぶっちゃけその原体験論はあまり好きではないんですよ。
原体験てその時だけというか、要は移り変わっていくもので、きっかけはそうかもしれないけれど、時間は時系列で流れていくものでずっと止まっている必要はないし、それがないと何かができないとかいうことは絶対ないと私は思っていて。
だから廣田くんに聞いたんです、原体験はありますかって。なんか、なさそうだから見た感じ!

廣田:
実際この活動を始めた時まだ若かったので、なんでそんな若い美容師さんがそんなことやるんですかって目をキラキラ輝かせて聞かれるわけですよ。で、「きっとあなたはすごく辛いことがあったんでしょうね」とか言われてそれで僕が「いやすみません特に何もないんです」と答えた時の、向こうのがっかりした感じとか。
それで、最初の頃はそういう原体験がないともしかしたら手を出したらいけない世界なんじゃないかと思うことがあったんですけど。だけどそれって可能性が広がらないじゃないですか。
で、障害とかバリアフリーとかいう言葉を出すときに思うのが、結構言葉の持つマジックみたいなものがあって、それで湘南バリアフリーフェスティバルイベントのタイトルも結構悩んだんですよね。

石嶋:
そうなんや、いいのにすごく。わかりやすいし伝わりやすいし。

廣田:
わかりやすさはあるんですけどね。
僕がやろうとしている美容も、福祉美容というべきか、介護美容というべきか…他にはたとえばバリアフリー美容、ユニバーサルビューティーとか、色々あると思うんですよ、可能性としては。
だけどどれもしっくりこないなと思って。
それで僕が新しく提唱したいのが“Variousbeauty”という言葉で。
様々な、とか多様な、とかいう意味の言葉なんですが、僕がやっていきたいことが結局美容を通して、どんな人に対しても笑顔で明るくしていきたい気持ちがあるので、それは福祉とかバリアフリーとかいう言葉ではないんですよね。だからそういう形を定着できるような形で発信していきたいんです。

画像2

石嶋:
廣田くんは、バリアフリーフェスティバルの時も思ったんですけど、仲間がいっぱいいるじゃないですか。あれはどういう繋がりなんですか?みんな同じような考え方なの?

廣田:
前年から参加してくれている人もたくさんいて、他には、去年のイベントをみて僕の活動を知って興味をもって連絡をしてくてくれた方もいたりとか。基本的には賛同してくれている人しかいないので、ある意味僕からしたら強い仲間なんですけど。
そういう形で僕のやっていることが少しずつ周りに広がってきたなと、2年目はすごく感じたので、しっかりやって特に美容業界に対しては影響力をもてるように頑張っていきたいと思っています。

石嶋:
そうだよ。37だったら立場をもっと「ドン」くらいにならないと!

廣田:
そうですね!
最近美容学校で授業やらせてもらってるんですけど、今の19、20歳の子達はすごいですよ。
福祉とか、そういうことに対する理解がめちゃくちゃあって。
元々そういう方に貢献したいから美容師になりました、とかいう子もいるくらいです。

石嶋:
ええ!本当に?
うちもね、社団以外に株式会社チャーミングケアモールというのもやってるんですけどね、そこでSARAYAさんと言って、衛生用品とか、日用品とか、洗剤とかさ、そういうものを扱ってらっしゃる会社にインタビューに行かせてもらったんだけど、そこのプロダクトマネージャーの子が20代、新卒1、2年目くらいの子だたんですよ。それで、SARAYAさんて社会貢献度の高い事業、どれをとってもそうなので、そういう意識があっての入社なんですか?と聞いたら「環境問題について考えてました」と言い出して…私が大学生の時に環境問題なんて考えたこともなかったからすごいなと思った!同期入社にも同じような考えでSARAYAを選んで就職活動をした人も多いんだって。

廣田:
一年位前に東京で電車に乗っていた時、中学生か高校生くらいの女の子が二人乗ってきて、SDGsの話をし始めたんですよ。

石嶋:
ええちゃんと意味をわかってるの?

廣田:
わかっていたと思います。そこで話をするってことはちゃんと興味があって言葉にできるんだと思うんですけど、とにかく衝撃的で。学生がちゃんと学んでいるんだなと思います。

石嶋:
今世の中はコロナ禍だったり色々ありますけど、人の意識的には、立ち止まりなさいと言われているような気がするんですよ。絶対世の中変わるよね、ここから。
そうそう、それでね、すごく心配していたんですよ!美容師さんてコロナ怖くない?

廣田:
怖いですよそりゃもう。
僕の場合は高齢者相手なので、僕がもらってうつしてしまってはいけないので、本当に気をつけています。
医療現場の方の苦労とかはテレビでもよく見ますけど、介護の職員さんも毎日本当に大変で。

石嶋:
色々行き届いていないし、あまり取り上げられてもいないしね。

廣田:
最近ネット上で介護職員さんを守ろうっていう動きがありましたけどね。
今回の件で自分の今後も見直したし、コロナが呼び起こす人間の本性みたいなところ、本質的な部分が問われるなと。こういうときだからこそ前向きに、今後に向けて考える人もいるかなと。ネガティブに捉えることしかできない、という方もいると思うので…僕の中では、意識しようと思っています。

画像3

石嶋:
私も、そう思ってます。
わたしがやっているチャーミングケアって元々暗い話なんですよね。あんまり明るい要素はそもそもないじゃないですか、病気や障害って非日常でほんとだったらあまりなりたくはないもので、だけどそれを明るくかわいくかっこよく、をめざしているところで。
色んなところで自粛の動きがありますけど(チャーミングケア活動は)自粛する気が全然なくて。元々外に出辛い人達だから、今だからこそおうちで楽しめることがあるじゃないか、とか。
それで時期が来れば、一歩外に出てみよう、とかそういう風に、できることがあるんじゃないかと。
だからこうやって音声配信を始めてみたりしたんです。YouTubeって、じっと見とかないといけないじゃない?お世話をしている人とかはそれができないので、音声配信なら聞き流すことができるから、ちょっとお耳に留めていただけたらいいなと。
そしてね、音声では伝わりきらないけれど、イケメンの廣田君を呼んだわけじゃないですか!

廣田:
ありがとうございます!
YouTubeとかNetflixとかも、僕お世話になってますよ。でも、ずっと見ることはできないから、音楽とか、こういう聞き流すコンテンツは大事だなと思いましたね。

石嶋:
チャーミングケアの方でもまだバリアフリーフェスティバルについては書けてないので、またぜひとも取り上げさせてもらいたい。今年は難しいかもしれないけれど廣田くんの野望はこれからも続きますので。うちも何かジョインできることがあればしたいですし。
それについてはまたお願いしたいです。

廣田:ぜひぜひ!

石嶋:
今日のところはこのへんで。またよろしくお願いします。

よろしければサポートお願いいたします。サポートいただいた費用は、一般社団法人チャーミングケアの活動費として活用させていただきます。 https://charmingcare.org/membership-join/