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デンマーク語でプレゼン動画を作ってみた

以前から一度はやってみたいと思っていたことがある。それは、デンマーク語の動画を作ってアップするということだ。母国語でない言語だけで何分間かの説明をして、それを誰かに試聴してもらうというのはかなり勇気がいることだ。一番の心配は「通じるだろうか」ということだからだ。といっても、自分のデンマーク語を聞いてもらうという経験はこれが初めてではない。
コロナ禍のデンマークでフォルケホイスコーレが閉鎖になっていた期間、私は高齢者の尊厳ある生活というものについてがらんとした校舎の中で、あるいは自然の中を散歩しながらいつも考えていた。そしてコロナ閉鎖が2ヶ月半に及ぶ中で、何か自分の考えた結果を投げかけてみたいという欲求に駆られた。そこで、学校に提案してみたのは、30分間のオンラインプレゼンテーションであった。六月初頭の土曜日の朝、私はホイスコーレの部屋の中でパソコンに資料を表示し、スマホをマイクがわりにして音声を取りながらオンライン会議を開催した。
原稿はデンマーク語で用意し、デンマーク語の先生にみてもらいながら校正し、何度も読み上げ練習をしたが、やはり全く心もとない。緊張しながら配信を始めたら、7、8名が参加してくれた。必死に読み上げたが、実際最後の方ではくたびれてしまって何を喋っているのかよくわからない状況だった。
しかし学校内だけでなく、オンラインによって地域の人にも聞いてもらうという経験ができたおかげでデンマーク語への敷居は格段に下がった。あの時の配信が通じたのかどうかはいまだによくわからないが、少なくとも通じるかどうかを心配しすぎることはその後はなくなったと言ってよい。
今回はその時に比べれば相当経験値は上がっている。帰国して2年間、毎日のようにデンマーク語のニュース記事に触れ、デンマークの友人たちとSNSでつながってやり取りをし、デンマーク語を忘れたくないという思いから開設された楽しいSNSに参加してデンマーク人との会話までできる機会を得たからだ。
それでもいまだに発音や聞き取りは困難である。まったく日本語にはない運動感覚が口内と耳の中に要求されるからだ。しかしおおいに日本語訛りであったとしても、通じる可能性があるという楽観的な確信があったからこそ今回の動画アップにつながったといえる。
今回の動画はフォルケホイスコーレで学んだ3つのことというタイトルで4分ほどの短いものだが、アップしてからじきに幾つかの反応をいただいた。デンマークの学校関係の友人からは学生に見せてもいいかという嬉しい問い合わせまでいただいた。デンマークに滞在していた時は十分に考えがまとめられていなかったり、語学力の不足だったりと、思い通りの結果が発信できなかったものが、ここにきて少しずつ形を結びつつあるような気がして非常にワクワクしている。

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