デンマークつながり
毎週、デンマーク語を忘れないために集うオンラインのプログラムに参加している。同じフォルケホイスコーレにいた若いデンマーク人の友人も参加してくれるようになってたいへん楽しいひとときだ。そして、なにより、自分が帰国してから考えてきたことを改めて見直したり再確認する機会を与えてくれていることにも感謝している。
言葉も文化もわからずにデンマークに飛び込み、いろいろと体験してそこで必死に考えもしたが、それがどの程度本質を得ているのか、単なる自己満足で終わっているだけなのか、そこのとことがわからない不安というのがいつもあった。いくら自分では筋道が通っているように感じても実際どうなのか、それは多分自分にはわからない。やはりそれには他人の意見を聞いたり自分の考えを述べて他人に聞いてもらうしかない。このデンマーク語のプログラムではそれを生でぶつけることができるし、広範囲に及ぶ話題の中で気付かされることも多い、貴重な機会だ。
また、デンマークで知り合った邦人、デンマーク人の友人もとても貴重だ。この人たちと連絡を取り合っていられることは自分の知見を脱線させない羅針盤のように感じられる。そこには世界を瞬時につなぐインターネット技術の存在があるからこそなのだが、その恩恵がこのような豊かな体験をもたらしてくれていることは本当にありがたいことだ。
今回のプログラムで再確認できたことは、デンマークでは個人主義の先進国であるわけだが、その個人はコミュニティの中で貢献するためにベストを尽くすことが求められていて、それが互いの信頼を生むということだった。デンマークでは警察官の人数が少ないとか汚職がほとんどないということは有名である。信頼がすごいということなのだ。また、人は皆違っているという前提に立っているが、それ故に意見の違いが出てきて悩まされるということもあり、最悪の気分になることもある。しかしそれをなんとかコントロールして皆が楽しく安心できる知恵がやはりデンマークにもあるようだということであった。日本で言えば、気持ちの持ちようで悩みがなくなるような、あれである。
私は高齢になって介護される生活に入った時にどうしたらいいかということを知りたいと思ってデンマーク留学を決めた。そしてその留学期間が終わってなお、考え続け気付かされ続けているのはその時に縁あって知り合った人々、帰国してからもデンマークというキーワードでつながった人たちのおかげである。これは当初とは別の意味で私の得た素晴らしい解答だったのかも知れない。
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