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「ゴスペル日記6」 ~初体験~

ゴスペル日記6  ~初体験~

着かない・・着かない・・着かない、、

それもそのはず、現地の人は基本的に移動はクルマです(笑)

クルマを基準に「近所」と言っていたのに気がついたのは
家を出て1時間以上チャリをこいでからだった。

パサデナは自分が住んでいる家からバスを使っても2本乗り継いで行くところだったのだ。。

それでも幸い、LAの道は碁盤の目のようにキレイに整理されていたのと、

すっげー早めに出たので、なんとかあまり(?)迷子になることもなく時間ギリギリでカレッジに到着できた。

スーパー方向オンチとしてはまさに奇跡。
なんせポイントといっても山が見える方向(北)へ出発したあとコロラドという道にぶつかったら左・・・以上。

シンプル過ぎて、超クルマ社会なのにカーナビがイマイチ普及しないのもうなずける。(1990年代当時)

しばらくスッゲー広いカレッジ内をウロウロした後、なんとかゴスペルクラスに到着!

・・・であるがカンペキ部外者なので、こっそり入り口から中の様子を伺ってみる。

さすがブラックミュージックのクラス、
生徒の約半分くらいが黒人系だ。
そして残りの半分を白人系?、ヒスパニック系?、アジア系?で埋めている具合。

ヒジョーに多民族国家を感じる。
フツーの日本の学校じゃまず見れない光景だ。

そんなことを考えているとトツゼン中から

「Come in!」 

明らかにこっちを見て手招きしてる先生らしき黒人のおばさん(失礼ながら、実は彼女がマザー・ベティー・ケラー、後にワタシが黒人社会に入っていく橋渡しをしてくれる。ワタシの生涯における師匠)がいる。

なんということだ、タダで覗き見してる外国人(海外では自分が)を快く迎え入れてくれるというのか。
これは滅多にないチャンスだと思い、ためらいなく入っていった。
モグりの始まりである(笑)

日本にいた頃、日○大学や○芸大学の講義に何度もモグったことはあったが、こんなにスリリングでバレバレなモグりは初めてである。(後に正式に在籍することになるが)

クラスは生徒が扇状に先生を囲んだ感じに座る。
みんな身体がデカい、自分の3倍くらい(横に)ありそうな兄ちゃんの後ろに
一応おりこうさんぶって座っていると、彼が振り返って「Join in!」と言ってくれた。
・・・のでちゃっかり扇の真ん中に陣取った。
その彼が今も交友のあるJustinだ。


見た目はスゲー声が出て歌うまそうだが、じつはすごく控えめな優しい人だった。

さて授業である、初めてのゴスペル。
先生が少し話をしたかと思うといきなりみんなで歌いだした。

目の前の先生のオーラのスゴいこと!
なんていうか身体の内側から光が放出されてる感じだ。
こんなスーパーおばさん見たことない。

生徒も生徒で素晴らしいハーモニーだ。
とてもみんな学生とは思えない。

なんて楽しいんだ!!

音もリズムも言葉もスゥーっと身体に何の抵抗もなく染み込んでいくのがわかる。
今までに味わったことのない感覚だ。
これが自分のやりたかったことだ!
と確信した瞬間だった。

あっという間に授業は終わった・・・気がしたが、すでに2時間ちかくが経過していた。

みんな当たり前のようにゾロゾロ帰っていくなか、
あまりの感動にしばらく呆然としていたが、、

いやいや!こうしちゃいられん、次の日程をなんとか聞き出さなくては!

先生に直接、

「自分はゴスペルにとても感動した」

「貧乏学生でお金は払えないけど、また来てもいいですか?」

ということを一生懸命にインチキイングリッシュを駆使して聞いた。

すると先生はニッコリ微笑んで「OK」といってくれた。 


・・・・・・・・つづく

2006年02月08日に書いたもの

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