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『ジャパニーズウイスキーの定義』の浸透が、日本国産ウイスキーの輸出減少の原因に!?

■前回まで

◇前回までのまとめ

▼2023年に「日本国産ウイスキー」の輸出が大きく前年を割り込んだ。
 【輸出量】 約1293 万リットル
     (対前年同時期比 9.3%減
 【輸出金額】 約501 億円
     (対前年同時期比 10.6%減

▼輸出相手国1位:中国、2位:アメリカは、ともに不景気が直撃した。
 【1位:中国】  約132億円
   [金額構成比26%](前年比 33%減
 【2位:アメリカ】 約106億円
   [金額構成比21%](前年比 4%減

▼日本酒の輸出の状況もウイスキーとまったく同じで、輸出相手国1位:中国、2位:アメリカで、大きく前年を割り込んだ。

▼ただ、不景気の要素の他に、「ジャパニーズウイスキーの定義」の浸透もあるのではないか?

今回は、この「ジャパニーズウイスキーの定義の浸透」について、お話ししたいと思います。


■ジャパニーズウイスキーの定義の浸透

2021年に日本洋酒酒造組合が制定した「ジャパニーズウイスキーの定義」。

日本国産ウイスキーの輸出に、この影響が出てきている感じがするのです。(データ的根拠は持ち合わせていないのですが・・・)

実にわかりにくいのですが、

   日本国産ウイスキー
    ≠   ジャパニーズウイスキー

なんです!


■ジャパニーズウイスキーの定義

ざっくり言うと、日本の酒税法が定義する「ウイスキー」よりも、日本洋酒酒造組合が制定した「ジャパニーズウイスキー」の定義の方が、規定が厳しいです。

厳しいといっても、世界基準≒スコッチ基準というレベルです。

定義の詳細は別途で記事化しますが、以下のリンクから「JWの定義」が確認できます。

◇ジャパニーズウイスキーの定義
自主基準|日本洋酒酒造組合(公式ホームページ) (yoshu.or.jp)
202303291553482719.pdf (yoshu.or.jp)

特に重要なポイントだけ言うと、酒税法の定める「日本国産ウイスキー」と比べて、日本洋酒酒造組合の定める「ジャパニーズウイスキー」の定義は、以下の2点のレギュレーションが明確化されています。

・国産のウイスキー原酒 = 100%使用必須

・原酒の木樽での最低熟成期間 = 3年間

という点です。

2021年2月に発表されたこのジャパニーズウイスキーの定義は、3年間の移行措置期間を挟んで、2024年4月から正式に施行されています。

これは他国のように法律ではなく、日本洋酒酒造組合内の規定ではありますが、日本洋酒酒造組合にはメジャーなメーカーはほぼ加盟しています。

組合員の紹介|日本洋酒酒造組合(公式ホームページ) (yoshu.or.jp)

3年間の移行期間と、2024年4月の正式施行されたことによって、ジャパニーズウイスキーの定義が、「いよいよ浸透してきているのかな」と思うのです。


■コンクールでも

2021年にジャパニーズウイスキーの定義が発表されて以来、世界的なウイスキーのコンクールでも、「ジャパニーズウイスキー」のカテゴリーに出品する場合には『日本洋酒酒造組合の定めるところのジャパニーズウイスキー』に合致するものしか、出品できなくなって来ています。

逆に言うと、それまでは「輸入ウイスキー原酒」をブレンドに使用した「日本国産ウイスキー」が、「ジャパニーズウイスキー」としてコンクールに出品されていたという事実もあります。

「これは問題だ!」ということで(他にも色々と弊害があり)、日本洋酒酒造組合は「日本国産ウイスキー」ではなく、『ジャパニーズウイスキー』を定義したのです。

この流れは、「日本国産ワイン」と「日本ワイン」の違いを法律化したワイン業界と同様の流れですが、ワインの方は2018年に法律化していますので、ウイスキー業界よりも先行しています。


■(まとめ)日本国産ウイスキーの輸出減少の理由

チャーリーなりに輸出減少の理由をまとめるなら、以下の通りです。

◇日本国産ウイスキーの輸出の減少理由

①    輸出相手国(1位:中国・2位:アメリカ)の景気減速

②    ジャパニーズウイスキーの定義の浸透

《輸出相手国のバイヤー》
「それって、ジャパニーズウイスキーに定義に合致している? 日本産でない輸入原酒の入っている日本国産ウイスキーは、うちは要らないよ!」

ウイスキー愛好家としては、決して、

③    そろそろ世界的ウイスキーブームや、ジャパニーズウイスキー人気が去りつつある。

ということでないと信じたいですね!

以上、今回で「2023年 日本国産ウイスキーの輸出減少」のお話を終了します。

長々とお付き合い、ありがとうございました!

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