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アイラ島の「キルダルトン3兄弟」って何?

■アイラ島南岸の超有名な3蒸溜所

ウイスキー好きなら、ご存じかと思いますが個性的なスモーキーなシングルモルトウイスキーで有名なのが、スコットランドのアイラ島です。

そのアイラ島南側の海岸際に、西から

・ラフロイグ(1815年創業)
・ラガヴーリン(1816年創業)
・アードベッグ(1815年創業)

と、超有名な蒸溜所が3つ並んで立地しています。

この3つは同じ教区(教会の区画=小学校の校区みたいな感じですね!)に属していて、その教区をキルダルトンと言います。

そのため、この3つの蒸溜所をまとめて「キルダルトン3兄弟」と呼んだりします!


■似通っているキルダルトン3兄弟

このアイラ島南岸のキルダルトン3兄弟の蒸溜所は、兄弟だけに似ている部分があります。
代表的なものをいくつかご紹介したいと思います!


■特徴1つ目=立地

まず、3つの蒸溜所ともに海際に立地しています。
これは、以前は原材料(モルト)をスコットランド本土から船で運び入れ、その船を直接、蒸溜所の脇の艀に着けて荷下ろしを行っていたため、これら古くからの蒸溜所は海際に立地しているという特徴があります。


■特徴2つ目=見た目

そして、特徴的なのが、『白い壁に黒文字で蒸溜所名が書いてある』という蒸溜所のビルボード(外壁の屋外広告)です。

ラフロイグ蒸溜所
以下のサントリーのHPから引用

ラフロイグ蒸溜所 ラフロイグ サントリー (suntory.co.jp)

ラガヴーリン蒸溜所
以下のDear WHISKYのHPから引用

ラガヴーリン蒸留所 - Lagavulin DISTILLERY | Dear WHISKY - ウイスキーカスク投資

アードベッグ蒸溜所
以下のDear WHISKYのHPから引用

アードベッグ蒸留所 - Ardbeg DISTILLERY | Dear WHISKY - ウイスキーカスク投資

これ、シンプルかつ武骨な感じで、超カッチョ良いですよね!?

ちなみに、アイラモルトを強く意識してウイスキーづくりをしている北海道の厚岸蒸溜所の外壁も、この見た目を継承しています。

厚岸蒸溜所
下記のJWICのHPから引用

JWIC-ジャパニーズウイスキーインフォメーションセンター

そして、厚岸蒸溜所のポットスチルは、「アイラモルトっぽい強い酒質」をGETするためそのポットスチルは、ラガヴーリン蒸溜所のそれと「ずんぐりむっくりした形状」がソックリです! 見た目がタマネギっぽいですね。

厚岸蒸溜所のポットスチル
上記のJWICのHPから引用
ラガヴーリン蒸溜所のポットスチル
下記のWhisky LaboratoryのHPから引用

ラガヴーリン蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説! | Whisky Laboratory

話を戻して、この「白い壁に黒文字のスタイル」がいつから・なぜ始まったか、を少し調べてみましたが、詳細はわかりませんでした。

チェーリー的推測では、

・アイラ島は天候が悪いことが多いので、スコットランド本土から来た原料を積んだ船が、パっと見で、どの蒸溜所かわかりやすかったから。

・通常、スコットランドの蒸溜所の壁は黒ずむことが多いが、海際で潮がかかると蒸溜所の壁に塩がふき、黒色と白色がマダラになって見た目がよろしくない。 どうせ塩がふくなら、最初から壁を白色にしてしまえ!と白色に塗った。

・塩風の影響で蒸溜所の建屋が痛まないように、コーティング的に白色の塗料を塗った。

とかでしょうか?

さて、正直なところ、この1つ目と2つ目の特徴は、キルダルトン地区に限らず、アイラ島の他のいくつかの蒸溜所でも見られる特徴でもあります。

例えばボウモア蒸溜所です。
ボウモアはアイラ島南岸ではなく、アイラ島の真ん中あたりに位置していますが、インダール湾が入り込んでいるため、その湾の海際に立地しています。

ボウモア蒸溜所
以下のサントリーHPから引用

特別な環境 ボウモア サントリー (suntory.co.jp)

でも、次の3つ目の特徴こそが「キルダルトン3兄弟」と、他のアイラモルトとの『違い』を際立たせるものであり、この3兄弟を世界的に有名にしているポイントと言えるでしょう。


■特徴3つ目=強烈なスモーキーフレーバー

◇キルダルトン3兄弟
・ラフロイグ
・ラガヴーリン
・アードベッグ

この3つを聞いて、ウイスキー好きの誰もが思い浮かべるイメージが、強烈なスモーキーフレーバーです!!

◇キルダルトン3兄弟の強烈なスモーキーフレーバーを表現するなら
・正露丸
・薬品
・消毒液
・磯の香り
・燻製  
・鰹節  など

飲む前からこんなフレーズを聞いたら「これって飲んで大丈夫なの?」と思ってしまいそうですね。

ただ、ウイスキー愛好家にとっては垂涎のフレーバーなのです!

ラフロイグのキャッチコピーが、そのフレーバーを的確に表現しています。

You either love it or hate it.

好きになるか、
嫌いになるのかどちらか。

この万人に媚びない、「hate(大嫌い)になっちまうヤツは、なっちまえ!」的な職人肌の感じがグっと来ますね!


■同じアイラモルトと言っても

アイラ島のシングルモルトは、概してスモーキーフレーバーが強いことで有名ですが、島内のエリアによって、ざっくりですが、そのフレーバーの軽重の傾向が異なります。

◇アイラ島北部
 スモーキーフレーバー=弱め
 (ブナハーブンなど)

◇アイラ島中部
 スモーキーフレーバー=程よい
 (ボウモアなど)
  ⇒ 程よいと言っても、一般的にシングルモルトよりも強め

◇アイラ島南部
 スモーキーフレーバー=激強め!
 (キルダルトン3兄弟)

ちなみにこのようなフレーバーの特徴から

・ボウモア  = アイラの女王
 →スモーキーフレーバー:バランス系

・ラフロイグ = アイラの王
 →スモーキーフレーバー:オラオラ系

なんて表現することもあります。

このアイラ島内のフレーバーの傾向を覚えておくだけで、「お主、なかなかアイラモルトを知っておるのう」となると思います!

次回は、キルダルトン3兄弟を有名にしている「スモーキーフレーバー」について、お話したいと思います!

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