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六条大麦 vs 二条大麦

■大麦は大きく分けて2種類

ビールやウイスキーの原料となる「大麦」ですが、まずは、六条大麦と二条大麦の2つに大別することが多いです。(正確には、四条種などもありますが、あまり一般的ではないので、ここでは省略します。)

六条大麦と二条大麦をそれぞれ英語で書くと、

◾️六条大麦
six rowed barley = 六列に並んだ大麦

◾️二条大麦
two rowed barley = 二列に並んだ大麦

それぞれの大麦を、穂の上からのぞき込んだ時に、麦粒が「六列に並んでいるか」、「二列に並んでいるか」という見た目の違いで、そのように名付けられています。
この「麦粒が六列に並んでいるか、二列に並んでいるか」は、写真などで見てもわかりずらいです。
ただ、実物を見ると、『百聞は一見に如かず』の代表例に選ばれてもよいくらい、「ああ、こういう違いね」とすぐにわかります。

誕生の歴史でいうと、まずは六条大麦が西アジアで誕生したと言われています。
その後、六条大麦の「6つの麦粒のうち4つが退化」し、「残った2つの麦粒が大きく」なった二条大麦が、西南アジアで生まれました。


■日本人になじみのある六条大麦

六条大麦というと思い浮かぶのはやっぱり「麦茶」ですよね? 
日本で「大麦」という場合、六条大麦のことを指すことが多いです。六条大麦は、食用で用いられることが多く、麦茶・味噌の原料・麦飯などで使用されます。
一方で、二条大麦は、別名「ビール麦」とも呼ばれ、醸造用に適しており、ビールモルトウイスキーの原料として使用されます。


■二条大麦が酒づくりに適している理由

二条大麦の麦粒は、六条大麦の麦粒より大きいです。そのため麦粒内のデンプンの量が多くなります。
酒づくりにおいては、デンプンは、糖分へ変換され、その糖分はアルコールへ変換されます。
このように、アルコールのもととなるデンプンが多いため、二条大麦は、六条大麦より、酒づくりにおいてよく使われるわけです。

麦茶 = 六条大麦
ビール・モルトウイスキー = 二条大麦

これを覚えておくだけで、もうお酒「通」です!


■あなどれない六条大麦

二条大麦は、六条大麦から「粒が大きくなり、デンプンが多くなった」と、スーパーサイヤ人のように変化したわけですが、スーパーサイヤ人も「元気玉」を使えないという弱点があるように、二条大麦にも弱点があります。(ドラゴンボールに詳しくない方、わかりずらくてスミマセン。)

二条大麦からつくられた麦芽は、アルコールのもととなるデンプンが多いのですが、六条大麦からつくった麦芽に比べ、「酵素力」が弱くなっています。
ここ、モルトウイスキー、グレーンウイスキーといったウイスキーそのものを理解するにあたって、超大切です!


■麦芽とは?

麦芽とは「大麦を少し発芽させてから乾燥させたもの」で、生の大麦より保存性に優れます。

また、発芽させることにより、その大麦の中に「糖化酵素」と、「タンパク質分解酵素」が発生します。
この麦芽内の「糖化酵素」がないと、デンプンを糖分に変換することができず、大麦からお酒をつくることができません。

大麦に限らず、小麦・米・トウモロコシなど穀物からお酒をつくる場合は、必ずこの「糖化酵素」が必ず必要になるのです!
「糖化酵素」、超重要です!


そして、重要なのでもう一度言いますが、二条大麦の麦芽は「デンプンが多いが、酵素力が弱い」です。
そして逆に、六条大麦の麦芽は「デンプンは少ないが、酵素力が強い」という素晴らしい特徴を持っています。

この酵素力の強い「六条大麦」の使われ方については、次回の記事でご説明します!

今回は「酵素」なんていう話が出てきて、ちょっと難しかったですよね。。
でも、この二条大麦と六条大麦の違い(デンプンの多寡/酵素力の多寡)については、一度理解すると、ウイスキーだけでなく、「お酒そのもの」への理解が深まりますので、もう少々お付き合いください!


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