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3人そろって・・・ないんかい!

6歳の娘は寝起きがたいそう悪い。

ゆすっても、逆さにしても、簡単には起きやしない。
仕方がないので、死んだように眠ったままの娘を抱っこして、3階の寝室から2階のリビングに連れて降りては、しばし床に放置してみる。
しかし、全く起きる気配もなく、すーぴー寝ている。

ほどなく、妻のひと声。「ごはん、できたでー」

朝ごはんぐらいは、家族3人一緒に食べたいものだ。

昼は3人バラバラだし、夜は僕の仕事の都合、妻と娘のふたりでの食事となる。だから、チャンスは基本、朝ごはんのときぐらいなのだ。
ゆっさゆっさと娘をゆすってみるが、まったく目を開かない。

妻のふた言め。「いただきまーす」

そう、妻は待たない人なのだ。
食べに来ない、こっちの方が悪い。待つ義理など、あろうはずもない。

僕はあせって、なんとか娘を起こそうとゆさゆさしてみる。
ダメだ、死んだように眠っている。もはや仮死状態なのかもしれない。

そうだ、テレビだ。テレビの力を借りてみよう。
そう。娘はテレビっ子だから、テレビの音が聞こえれば、目を覚ます可能性は高いはずだ。
僕は、テレビのリモコンを押してみる。
ディズニー・ジュニアさん、よろしく頼むぜ・・・!
ピクッ・・・娘のまぶたが動く。
・・・パチッ。目が開いた!
やった! どうやら、成功だ。
僕はすかさず、娘に声をかけた。
「おはよう」
・・・無視。
「ごはん、ママ食べ始めてるから、一緒に食べよっか」
・・・無視。
そして、娘の目は、ディズニー・ジュニアにくぎ付けである。
そこへ、妻が一喝。
「なぁ! いま、テレビ見る時間ちゃうやろ!!」
わ・・わかってますって!起こすためにちょっとつけただけですやん。
ふたたび娘に声をかけてみる。
「な?ごはん食べ行こ。そうだ。一時停止にして、後で見よっか」
そうやってリモコンに手を伸ばすと・・・
「んーーー!!」娘に睨みつけられた。
OH!NO! 娘まで、怒りはじめたではないか。
理不尽な思いを押し殺し、僕は、娘に提案してみる。
「わ、わかった、わかった。じゃ、このシーン終わったら、ごはん食べ行こな」
なんとか、娘をなだめながら、キリのいいところまで待ってみる。

ちらりと、ダイニングに目をやる。
妻は、黙々と朝ごはんを食べている。若干、不機嫌な表情である。

ようやく、番組が一段落ついた。僕はすかさず、
「よし!じゃ、朝ごはん、食べ行くで~」
小1の娘を抱きかかえると、テーブルにつかせ、手を合わせた。
そして、いただきます、を言おうとした瞬間。

妻がひと言。「ごちそうさまでした」
え・・・?
「じゃ、私、下行って、用事してくるから」
そう言い残すと、妻は階下へと去っていった。

そう、妻は待たない人なのだ。

「いただきまーす」ちらりと娘の方を見る。なんか不機嫌だ。テレビを途中で止められているからだろう。でも、しょうがないやん。
何?僕、悪者か??? なんでやぁ・・・
若干の理不尽な思いとともに、僕は食パンにかじりついた。

僕たち3人が、一緒に朝ごはんを食べられるのは、いつの日になるだろう。

でも、負けないぜ!!

家族団らんへの挑戦は、明日も続く。

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