人生の岐路
こんばんは。チャージック代表の大嶋です。
誰しもが「人生の岐路」とも呼べる状況に立ったことがあると思います。
AかBか?
やるかやらないか?
進むべきか戻るべきか?
本日は「人生の岐路」について少し考えてみたいと思います。
現状
これは僕の知人のお話です。仮にその人をUさんとします。
Uさんは数年前に自分自身で事業を起ち上げて、現在は奥さんと2人で経営しています。
自分達で健康器具をつくって販売しているのですが、まだ利益が出るまでには至っておらず、手持ちのお金はもうそれほど残っていません。
販売商品は当初あまり評判は良くありませんでしたが、改良を重ねて、ようやく一定の評価をもらいリピーターがついてくるレベルまでになりました。
今まで手つかずだった販売促進に力を入れていけば売り上げも伸びてくるかもしれませんし、利益も出てくるかもしれません。
ただ現在はコロナ禍で販売促進の費用対効果が見込めないらしく、Uさんは当面の間、アルバイトでもして当座を凌ぐように考えていました。
応募
実はUさんは数カ月前にたてた年間計画で、1年後くらいに事業をたたんで、他で仕事をしないといけなくなるというシミュレーション(ワーストプラン)もしていました。
そして、その時たまたま目にした求人に応募していたのです。
それは、Uさんが今までやったことのない仕事ですが、収入や待遇がとても安定した仕事で、例年何十倍~という高い競争率の仕事でした。
その求人自体は毎年同時期に募集が行われ、1次筆記試験・2次面接といった選考方式です。
実は、Uさんは翌年に事業をたたんで仕事を探す可能性も考えて、まずこの選考がどんなものか経験しておくために今年応募したのです。
選考
1次筆記試験はUさんの思っていた以上に難問だらけでしたが、マークシート方式も功を奏したのか、Uさんは1次試験を通過しました。
その後、2次面接も受けたのですが、予想以上に手ごたえを感じたUさんは、「自分はもしかして合格するかもしれない」と感じました。
そして、ふと思ったのです。
「合格したら、今の事業はすぐに辞めないといけないな。」
その会社は副業禁止の会社でした。
不断
Uさんは2次面接を受ける前に、合格したら今やっている事業は辞めると決めていました。
ただ、改めて「自分が本当に合格するかも」と思ったときに、少なからず湧いてくる気持ちがあります。
◼️製品もようやく固まってきて、これからなんだけどな。
◼️販促をしっかりすれば売れると思うんだけど。
◼️コロナ禍が過ぎて景気回復すれば、ビジネスチャンスも増えそうだ。
◼️今からようやく仲間集めとお金集めのフェーズなんだけど。
そして、一方でこんな気持ちがあるのも事実です。
◼️事業も今までやってダメなんだから、やっぱりダメなんじゃないか。
◼️経営者って自分には向いてないんじゃないか。
◼️今もかなり身体キツいし、これから益々キツくなってくるだろう。
◼️仲間もお金も、集まる可能性は低いんじゃないか。
■今なら従業員もいないし、誰にも迷惑はかけない。
・・・合格したら、すぐに今やっている事業を辞めるのは間違っていない。そもそも、2次面接を受ける前にそう決めていたじゃないか。
Uさんは、自分自身に言い聞かせます。
本心
ここまで読んでいただいた方は薄々お気付きかもしれませんが、Uさんは本心では事業をまだまだやりたいのだと思います。
ただ、今現在、事業やUさん自身を取り巻くお金をはじめとする環境が厳しいのは事実です。
そこに突然あらわれたこの先2度とあらわれないだろう「安定した収入」という現実に対して折り合いをつけなければならない事に戸惑っているのです。
Uさんは何度も何度も心の中で反芻します。
自分のやりたいことを続けたとしても先々「安定した収入」を得る可能性は少ない。
「安定した収入」を取れば、自分のやりたいことは諦めないといけない。
家族のことも考えれば、「安定した収入」のほうが良いに決まっている。
こんなチャンスはもう人生で無いだろう。
やりたいことなんか、他にいくらでも見つかるはず。
可能性や確率という観点からは、今の状況で「安定した収入」を取るという選択は間違っていない。ただ、どうやってこの気持ちに折り合いをつけていけばいいんだろう・・・。
結果
僕がUさんから以上のお話を聞いてから1カ月が経ちました。
結果としてUさんは合格し、今やっている事業からは手を引くという選択をしました。
久しぶりに会ったUさんの顔は少し穏やかになったように思えました。
「事業をやめたみたいですが、未練はないのですか?」
僕が尋ねたところ、Uさんは答えました。
「定年後にまたやることにしました。」
「え?」
「定年して、また挑戦してみようと思います。あと20年か25年後くらいでしょうか。その頃には子どもも成人していますし、また奥さんと2人で挑戦してみようと思っています。」
「新しい仕事には、もう行っているんですか?」
「新しい仕事は3月からです。元々事業がダメだった時は一番やってみたい仕事だったし、頑張ります。今は新生活が始まることにワクワクしてるんですよ。色々と相談にのってもらって、ありがとうございました。」
「いえ。そうですか。おめでとうございます。」
結局
Uさんのお話のように、人生は何でも都合よく計画通りにはいきません。
事業もそうですし、それに見切りをつけるタイミングも自分に都合よく訪れるとは限りません。
人生の岐路とも呼べる意思決定の場面であっても、どちらかを選択しなければいけませんし、その選択が自分の人生をつくっていきます。
人生に「たられば」は無いし、もちろんパラレルワールドはありません。
Uさんは、もしかすると20年とか25年後にまた同じように挑戦ができるとは、本気で思ってないのかもしれません。
それでも、自分自身の気持ちに折り合いをつけて、人生をつくっています。
他人のものではない、自分自身の意思による自分の人生をです。
今回、Uさんのお話を聞いて、僕も改めて自分の人生を考えました。
正解のない世界で生きていくという事。
「幸せ」を自分はどのように定義するのか。
自分の人生の目的は何か。優先順位は何か。
自分自身に改めて問い続けていきたいと思いました。
本日は長くなりましたが、最後にUさんの新生活が希望と幸福にあふれるものであることをお祈りします。
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それでは、また!!
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