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チャラ活にも慣れてきた頃、引越しをした。
チャラ活をしていることもあり、男を連れ込む前提の家探し。
不動産屋にて。
「一番の条件はなんですか?」
「壁厚めでお願いします」
そして、壁厚マンションに引越しました。広くないけれど、住めればいい。どうせ誰かが来てもベッドメインなんだから。ということで、ベッドは大きめにした。ふしだらなことしか考えていない。


部屋も片付き、落ち着いてからチャラ活再開。
アプリを漁る生活。
失敗にめげていてはいけない。

そんな時に、写真で爆イケのメンズを発見。
三〇歳。タトゥーゴリゴリ。
そして童顔。
ストリート系でハットなんて被っちゃってオシャレな感じ。
実はこの彼、他のアプリでも見つけていて、その時は連絡しても返事はなかった。
残念だと思っていたけれど、この時ぶん回していたアプリで再発見した。
マッチングしたので連絡してみたらこっちでは返事がきた。
少しやりとりをして、すぐに電話で話すことになった。
『もしもし』
ほうほう。声もダルそうで私の好み。チャラセンサー作動したかな?
そして次の日には彼の家の最寄り駅に到着。
あれ?これが若い子がよく使う「フッ軽」ってやつですかね。
はい、チャラいので。
SNSまでチェック入れたから今回は失敗はないでしょう。

彼がお酒はあまり飲まないということでお茶をすることに。
酒クソの私はそこで少し萎える。
今回はイケメンだから許す。イケメンだからだよ。


先に着いた私がお茶をして待っていると、遅れて登場。
タトゥーゴリゴリハット君。写真よりは劣るけど見た目はほぼ同じ。
 スタイルをよく確認する。ちんちくりん?ハーフパンツから覗く膝下はがっしり、短い。
 SNSだと脚が長かった。あれ?加工?加工かぁ…
まぁ顔は同じだしガタイがいいと思えばいけるかな。

話してみると、会話がなんだか噛み合わない。
質問しても素っ気ない。質問しても無言とか。話聞いてます?
こちらが質問して、何も返答がないと思ったら、全く違う話を前のめりで話し出したりする。
電話と違うなぁ。電話の時はもっと会話出来ていた気がする。様子大丈夫かな?
よく見てみると出っ歯だし。
少しね。私も歯並び完璧ではないし。
会話は相変わらず盛り上がらないし、話を急に変えてくる。
私が違った感じ?
「うち来る?」
唐突。お茶もそこそこに家に誘われた。
誘うってことは私は違ってなかった感じ?
それにしても流れとか謎なんですが。
謎を抱えたまま彼の家に行くことにした。
 私もここまで足を運んでおいて何もせず帰るのは負けた感じになるので、とりあえず行ってみることに。

途中でタバコを吸おうと喫煙所へ。
急に乳を触られた。
え?
チャラくない?
いいよ!もっとやれ!
そういう不意打ち嫌いじゃないよ。
そこでテンションが上がる。
彼の家まで歩く道中。
「彼女の物とかあるけど気にしないよね?」
え?
聞いてないよ。
でもそこは気にしないから大丈夫。無問題。
やれればいいので。そういう女です。
「あとどれくらい?」
「俺さ、去年まで癌で入院してたんだよね」
ん?話をまたぶった切られたし、急に重い話をぶっ込んできた。
「髪も体毛も抜けてさ」
 「へぇ…」
「今は結構生えてるけどさ」
体毛はない方推奨派だけど。
重めですね。
「もうすぐ着くけど、姉さんの旦那の会社の寮に住んでるんだよね」
え?大丈夫?
情報小出しにし過ぎじゃない?
不安が増長してきている私。
既に家の前。引くに引けない。階段に片足かけちゃってますよ。
オートロックも無い家。
まぁ、私も余裕でオートロック無い家に住んでたことあるし。男ですものね。
とりあえず階段を上がる。
気分はホラーゲーム感覚になっている私。
「ちょっと待ってて」
玄関前で待たされる。逃げるなら今か?
「どうぞ」
割とすぐ出てきた。家に入る。道中でハンドガンとか入っているアイテムボックスがあったらよかったのに。
薄暗い部屋。物が多い。
マジでガッツリ女物あるなぁ。
そして…ベッドが無い。
布団はあるがベッドはいずこ?
「ベッドはないの?」
「ベッドは彼女が気に入らないって言って勝手に捨てたんだよね」
 怖い怖い。猟奇的。急に入ってきたら面白いのに。昔から修羅場とか面白くなってしまう私。
ベッド無かったら腰痛くなるって。帰りたくなってきた。
「彼女とは一年以上してないし」
「え、それ大丈夫なの?付き合ってるの?」
「彼女、ハーフでさ、気が強すぎて別れてくれない」
知らねーよ。ハーフ関係ねーよ。
それから、彼が被っていた帽子を外した。

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