見出し画像

Chara「命のまつり」その12~高校時代

いよいよ、私も高校生になった。
学校は家から8㎞あり自転車で通学していた。
当時は当たり前と思っていたけど、今思えばすごいパワー。
エネルギーがあったと思う。

ある日の通学の時、私は交通事故にあった白い子犬を見つけた。
その時のことを綴ります。

私は高校2年生の時、雑種の白い犬を飼っていた。その犬は、まだ子犬だった。自動車に足を轢かれ道端にうずくまっていたのを通学中に見つけ助けたことがきっかけだった。

右の前足が酷く傷つき自分で歩けない状態だった。私は両親に獣医に連れて行くための費用を出して欲しいと頼んだ。しかし、両親は「そんな犬を拾ってきて」と相手にしてくれなかった。仕方なく見様見真似で傷の手当をし、曲がっている足に添え木を当て包帯を巻いた。犬の名前は月並みだが、「しろ」と名付けた。

 2か月くらい過ぎた頃、ぎこちないがびっこを引きながら歩けるようになった。毎日、私が学校から帰るのを玄関先で待っている姿が可愛らしかった。

しかし、それから1か月もしないうちにしろは嘔吐と下痢を繰り返すようになり、日に日に衰弱してきた。何かの病気に違いないと思い、獣医に連れて行こうと考えた。手持ちのお金は2千円しかなく、両親に病院代を出して欲しいと頼んでみた。両親はどうせ良くはならないのだからと協力はしてくれなかった。私は泣く泣く事情を話し、獣医の先生に診察をお願いし、費用は毎月の小遣から後払いすることを伝えた。先生は、まずは入院して様子をみてみようと言ってくださった。その翌日、学校の帰りに病院に寄るとしろはすでに亡くなっていた。先生は、「残念だったね。費用はいらないよ」と言ってくれた。

私は小さい命を守りたかった。それを助けてくれない両親と、小さい命を助けてくれることに協力してくれた獣医の先生の優しさに触れた体験だった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?