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Chara「命のまつり」その34~親と波音に癒されて

実家に帰って、両親と祖父との暮らしが始まった。

懐かしい母親の味付け、実家の畑でとれた野菜の煮物
地元の海で朝とれた魚の刺身、私はアジやトビウオが好きだった。
母がよく作ってくれた。
小イワシを指でさいて食べるのも好きだった。
母と畑仕事を一緒にした。海が近いせいか実家の畑は砂地だった。
鶯の鳴き声を聴きながら、畑の草を無心で抜く。
足腰はしんどかったけど、いい時間だった。

父は私に何も事情を聞くことはなかった。
実家の近くの景色のいい場所によく車で連れていってくれた。
私の生活の幅を少しずつ広げてくれようとしていたんだと思う。

夜はとっても静かで、暗くって、でも星がよく見えた。
深夜になると、ざざぁー、ざぶ~んと波音が聴こえてくる。
その音を聴きながら眠るのが心地よかった。
打ち寄せる波は1分間に18回、
いつのまにか私の呼吸は波とシンクロしていた。
実家で暮らすようになり、少しずつ眠った感じが味わえるようになり
睡眠薬の量も減っていった。

日々の暮らしが私を癒してくれていた。
実家に帰ってきて本当によかったと思った。







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