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麦畑へ 2

前回の記事の続きです。

麦畑があるのは、annonさんがお住まいのご近所。かなり琵琶湖の近くにいらっしゃるご様子。

以前、息子にannonさんが撮られた琵琶湖の写真を見せたことがあります。
「いいでしょう、この写真。
これを撮った人は、琵琶湖に住んでいてね」
「…半魚人?」
「違うってば。琵琶湖の近くに住んでいるっていう意味だよ」
「だってさ、イメージしちゃうじゃない。水の中から頭を半分だけ出している感じ。」
ごめん、お母さんの言い方が悪かった。でもそのイメージをどんどん描写しないで。頭の中に情景が定着しちゃうからー。

頭に頑固にこびりつく半魚人のイメージを振り払い、あらためてannonさんのプロフィールを拝見すると、滋賀県長浜市在住とあります。でも長浜は広いよね。長浜に行きさえすれば、どこにでも麦畑が広がっているとは限らない。それに、前回書いた通り、絶景スポットをフォトグラファーさんが見ず知らずの私に教えてくださるか、という不安もありました。

そしてさらに、長浜に行くのであれば、巳白さんが記事に書かれていた竹生島にも行きたい!という気持ちも抑えられなくなってきました。

「ねえ、せっかく長浜に行くなら竹生島にも行きたいんだけど。
ほら、神楽でかぶる鳥兜に、波を翔ける兎の図柄があるじゃない。
あの図柄の故郷らしいよ。」
鳥兜をつけて、神楽を舞った経験のある相方さんには、巳白さんの上の記事を見せたことがありました。それをどうやら覚えていたようで、早速竹生島へ行く方法を調べてくれました。

長浜港から竹生島に向かう観光船が出ている。乗車券は予約制で、当日販売はごくわずか。当日販売をあてにすると、乗れない危険性がありそうです。

予約締切は、前日の午後3時。
それまでに、麦畑の場所が特定できなければ、長浜行きは夢に終わります。annonさんの記事にコメントを打ち込み、気づいてコメントをくださるのをひたすら待ちます。家事をしながら、何度もiPadに開きっぱなしのnoteの画面をチェックします。早く気づいて!annonさん!

幸いなことに、annon さんは、お昼頃に私の切羽詰まったメッセージに気づいてくださいました。

「うわ。ホントにおいでになるんですか?すごい行動力。」

相当驚かれながらも、弾丸やりとりが始まりました。
こちらは台所にiPadを持ち込み、昼食の準備をしながら。
annonさんも、どうやら出先からコメントをチェックしてくださっていたようで、途中、互いに時間があきつつも、ネット筆談を繰り返しました。

必要な情報をすべて教えていただき、時間ギリギリに船の予約が終了。続いて新幹線のチケット予約。これで神奈川、滋賀一日往復弾丸旅行の手筈が整いました。

今これを書いていて思うのは、本当に無謀な計画だったということ。そしてよくannonさんがつきあってくださったものだという感謝と無茶な自分への恥ずかしさ…。草堆肥作りで、コメント欄でのやりとりを何度もさせていただき、annonさんがどうやら一日に何度かnote をチェックされているらしい、ということはわかっていたので、それにかけたのですが、本当に、ご迷惑をおかけしました。そしてありがとうございました。


サリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまえて」。
主人公のホールデンは、
If a body catch a body, comin’ through the rye
と口ずさみ、こんな架空の情景を語りました。

とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしているとこが目に見えるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そしてあたりには誰もいない――誰もって大人はだよ――僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ――つまり、子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう。そんなときに僕は、どっかから、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ライ麦畑でつかまえて

「ライ麦畑でつかまえて」は、大学時代に英語の授業の中で読みました。その時のペーパーバックはもう手元にありませんが、辞書を引きながら何度もめくった本の紙の色と共に、この場面は、当時大学生だった私に鮮烈な印象を植えつけました。

一面の麦畑。どんな情景なのでしょうか。明日そこに行ける!

続きます。

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