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できない理由を見つけるのではなく、何が何でも(植物の話です)

こんなことを言われたら、たじろいでしまいそうです。
‥が、これは人間に対して突きつけられた精神論ではなく、雑草学者ベーカーが挙げる、理想的な雑草の条件の1つです。

他個体とも受粉するが、自己の花粉を受粉しても結実する。
他家受粉の場合は、風媒。虫媒の場合も昆虫を特定しない。

強いのではなく、むしろ弱いからこそ生き残るために様々な戦略を持つ雑草たちの戦略に、驚きの連続でした。

この本のからもう一箇所、紹介させてください。

しかし、雑草のすごいところは、それだけではないとベーカーは言う。条件が良いときには、良いなりにたくさんの種子残すというのである。
条件が悪いときには悪いなりに、条件は良いときには良いなりに種子を生産するというのは、当たり前のように思えるかも知れないが、そうではない。たとえば、私たちが栽培する野菜や花壇の花では、生育が悪いと小さなままで花を咲かせないことがある。あるいは、逆に肥料をやりすぎると茎や葉ばかりが茂って、肝心の花が咲かなかったり、実が少なくなってしまったりする。
しかし、雑草はどんな条件であっても、最大限のパフォーマンスで種子を残す。どんな状況に置かれても、種子を残すという目的はぶれることがないのである。

出典:稲垣栄洋『雑草はなぜそこに生えているのか』筑摩書房

「雑草という名の草は無い」

という言葉がありますが、厳しい環境を選ぶことで生き残りをかけたのが雑草であるならば、彼らの生き方に敬意を表したいです。
(でも、庭に生えてきたら抜きます。)


ところで、今回ご紹介した本は、雑草ど根性論で終わるわけではありません。この本は中高生向けに書かれた『植物はなぜ動かないのか』の続編で、中高生の読者層を意識した内容になっています。

最後の一節が、とにかくいいです!

この世に存在するすべての生命が、ほんの偶然で今の時代に居合わせている。それは、食べたり食べられたり、競ったり奪い合ったりしているように見えるかも知れないが、すべてが奇跡のような命の輝きなのだ。

出典:稲垣栄洋『雑草はなぜそこに生えているのか』筑摩書房


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