野口晴哉「治療の書」より 人の生きてゐるは楽しき也
昔の文体ですが、書かれていることは平易ですので、どうぞ読み飛ばさず原文を味わってみてください。
「地球にのつて宇宙を闊歩してゐるも又面白きこと也。」
この部分を読んだ後、外を歩いてみました。
「光とともに息し、陽とともに生き、」
陽光を浴びながら、深呼吸してみました。
「花を楽しみ草を悲しみ、海に笑ひ山に考へ 人の生きてゐるは楽しき也。」
今まで見てきたものを思い出しました。
世界は美しいもので溢れていました。
近所に、具合の悪そうな地域猫がいます。
地域猫をお世話している方が、その猫を見ながら言いました。
「つかまえるわけにもいかないし。一生懸命生きているわけだからね。」
お気に入りの場所に寝そべる姿を毎日見ているうちに、少しずつ毛並みが整ってきたようです。気持ちよさそうなひなたに寝そべりながら、本能の赴くままに、ひたすら養生に努めていたのでしょう。
「その楽しみ乍ら百年二百年生きてゐれば、自づから休み与られる也。死ぬこと生くること 欣びて生き又死ぬ也。」
将来に怯えず、今を楽しみ生きること。生ききること。
それはおそらく、人間以外の生き物たちが、当たり前のように行っていることです。
人間は、病一つを治すにも、様々な選択肢を手に入れました。
でも、何を選ぶのかを決めるのは自分。
ひなたに寝そべり、体の声を聞き、病と対話する。
そんな道を選べればいいのに。
切にそう思います。
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