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写真

写真を記念に撮る、ということを自ら進んであまりしない方だと思う。
物心ついた時にはもう死んでしまった父方のじいちゃんの撮った写真を、小学生の頃に見て、なんでこんなに景色ばかり撮ってるんだろうと不思議で仕方なかったが、なんとなく今はわかる。とりあえず旅行行ったからその景色どこでも撮っとけみたいな撮り方なのである。しかもフィルムって昔貴重だっただろうから、そこはかとなくいい加減なじいさんである。私自身も、旅行に行くのが国内だろうと、海外だろうと、写真を名所の前で撮りためて後で見返すような写真もあまりない。新婚早々にトラブるのは面倒なので、ほぼこの時だけと言っていいパッケージツアーに参加した新婚旅行くらいだろうか。周りの新婚さんにほだされて、すみません〜、撮っていただいていいですか?と声をかけられ撮れば、ありがとうございます、では次はあなたたちお撮りしますね!と恩返しの繰り返しの流れで撮られた写真ばかり。あと、ごはんやスイーツの写真を、並べ直したり角度変えてみたりしてなかなか食べないのは、私にとっては迷惑でしかなく、今湯気上がってるうちにさっさと食わんかい!と思う。そのくせに自分で作って美味しそうにできたごはんは撮っちゃうけどね、さっと撮るだけよ。こんな私なので、旅行でなに食べたとか、あの時どんな景色だったとか忘れちゃうじゃないと言われるが、なんせ無駄に記憶力がいいので、よく覚えている。ファインダー越しにのぞいた世界よりも周りの風景とか、感じる風や匂いまで、結構その場を思い出せるものですよ。あと、たくさん撮り貯めておくと、写真の整理をするのがとても面倒だし、それでも写真整理を始めると、あっ!という間に時間経ってしまってなかなか片付かないしね。たまに引っ張り出してきても、期待したほどではなかった(勝手に自分が大きいと思い込んでただけです)札幌時計台やら、スイスのジェットーとか。美味しくてたくさんワイン飲んじゃった次の日の浮腫んだ顔とか。むしろ後悔の念が。写真撮るのに夢中になるなら、その時に集中したい派なのです。あと、この観光地ではここで撮ること必須!みたいな人が並んでる場所は、そんなに有名で資産価値が高いものには私たちが写り込むより、専門家がそれだけを撮った方が価値あるじゃん。並んでないならラッキーと思って撮りますよ、もちろん。並んでいる時間があれば、他にも価値あるものを見に行けるのに。旅行に行った写真をドラマティックに見せつけてくる上司とかもとっても面倒。でも、調子を合わせて一回見ちゃったら、次回作からはドラマ仕立ての動画、ヨーロッパ周遊の旅!とかいうテレビ東京もびっくりなタイトルの、自己編集DVDを家で観てこいと押し付けられてげんなりしたこともあるな。これ何ハラ?いや、コロナで旅行に行かなくなったから忘れていたが、うちの父もそうだ。旅行に行ったあとすぐは実家に行くのは避けないと、免税店で買いたてのピカピカのブランドもののカバンを必ず持っている顔のテカった父だけが写る写真による独りよがりのプレゼンテーションを聞く羽目になる。とにかくうちは、旦那と私が夫婦揃ってそんななので、お互いの最近のまともな写真などなく、急に遺影の写真とか困るよなあと思う。ほとんどの写真はスマホに入ってるし、パスポートとか、免許証のでいいや、もう。遺影なんて自分では見ないしね。と、いいつつ、旦那のセンスを疑っているので、きちんとしていこうかなとは思う。自分の分はね。
こんな私でも、コロナの緊急事態宣言下でだいぶ写真を撮ることがあったのは、LINEでスタンプ探して送るのが面倒くさいから、とりあえず今の状況や食事の写真を送っていたから。親しい友達は、きっとその方が喜んでくれていると信じて。しかも写真だけ送りつけてメッセージなしとかなんじゃこりゃっていうのもあったと思うけど、それは私なりの友愛のメッセージなのでご了承ください。
旦那はたまに写真に写ると、一枚目はほぼ100%の確率で半目で写る。久しぶりにみんなで集まった時や、二人で綺麗な夜景をバックにした時もいつもいつも。旦那は3人兄弟なのだが、おいとめいの祝い事や卒業、入学、その時々にお祝いを包むので、律儀に証拠写真のように義理の母から写真が必ず送られてくる。義理の母はシャッと証拠写真を一枚撮ったらすぐ送ってくる。そこに写る義理の兄も妹もみんないつも半目である。ものの見事に。恐るべし遺伝子。

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