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読書記録19 『言語学とは何か』

田中克彦『言語学とは何か』
(岩波新書 1993年)



言語学をさらりと通史的に学びたい。
そう思って手に取ったが、甘くはなかった…。
新書なのに手厳しい笑

さらっと読んだだけの私感としては、

ソシュールへの評価が高い。
社会言語学というものの有用さを主張。
そしてクレオール語を著者の主張として紹介。

これが目立ったような気がする。

ソシュールは、
『歴史の介入は、彼(=言語学者)の判断を狂わすだけ』と辛辣に言葉にする。

この言葉を受けた田中克彦も、
『言葉の本質を良く知るために、その歴史をよく知らなければならないという人は、実は本質を良く考えていないことが、話すうちにわかってしまう。』ソシュールは毒舌だよねというが、田中さんもねと本を読みながらつっこんでしまった。

1、近代言語学は国家に従属していた。歴史もそうであること。→〇〇語を区切る境界線は自然にはなく、極めて政治的。独自の民族を主張し、説得するためには固有の言語を持っていることを認識させる必要がある。だからこそ、国家は区切って研究をすすめさせることとなった。(日本の国史編纂、近代における天皇のあり方とも共通。恐るべき日本の識字率の高さと漢字、文字による支配のあり方との繋がりを考える上でも示唆的だ。)

2、クレオール語→奴隷と支配者、交易の際に通じればいいだけの言葉。ピジン語といったりする。それが子、孫へ。完成した言語となる=クレオール語。日本語こそクレオール語的起源があるだろう。

以上2点がこの本で気になった点。
読了して思ったことが、『かなりの奥深さと広さがある』ということ。哲学、思想、言語はクロスオーバーしてるじゃないか…。頭の中がなかなか整理に至らない笑

あぁ、楽しい。

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