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北海道より南を知らない北海道の子どもたち——北海道社会科教育に関する覚書

 北海道で社会科教育を担当して不思議に思ったことがある。それは、北海道以外の46都府県の位置について子どもたちが全く知らないということだった。47都道府県は既習事項であったので、47都道府県すべて覚えているかな、と白地図に書かせてみたところ、成績上位層以外の子どもたちが、北海道以南の都道府県についてほぼ空白であった。比較的覚えやすい、特徴のある形の都府県についても、歯が立たない。何地方に何県という、名称も分からないので、東北に九州の県など何もかにもがごっちゃになっていた。

 社会の地理分野では新学習指導要領の実施により、第1学年で「世界と日本の地域構成」を扱う。学習内容は①世界の地域構成と②日本の地域構成からなり、後者で「オ 都道府県の名称と位置、都道府県庁所在地」を扱う。しかし、47都道府県はすでに述べたように、中学で新しく習う内容ではない。47都道府県については、小学校でも扱われている。小学校4年生では「7 私たちの県のまちづくり」において、47都道府県の名称と位置、県の地形、主要産業、交通網、他地域とのかかわりを扱っている(教育出版検定教科書)。また小学5・6年生では、「2 食料生産を支える人々」「3 工業生産を支える人々」「4 国土の自然とともに生きる」において、テーマに合わせた日本の各地域をまんべんなく取り上げている。
 だから小学6年間で47都道府県は習得可能であり、しかも4年生以降の社会の授業でも、都道府県の位置関係については、繰り返し学ぶ機会がある。また小学校の先生と市教研などでお話しする機会はあるが、なにも社会に無関心な先生だけではない。
私自身教師一年目ということもあり、これが当たり前なのか、この地域・学校の特殊事例なのかわからない。しかし、自分が子どものころを振り返っても、おかしいのではないのか?なぜ、できないんだ?と私なりに考えてみた。

 その要因はおそらく複数あるだろう。考えられるだけでも5個くらい思いついた。


① 知育パズル離れ
② 学習指導要領や小学校の学びが覚えること偏重ではなくなった。
→暗記から見方・考え方とかいうけど、知識なければなんもできないんだけどね。
③ 北海道からでないから。
→他府県では隣の県に簡単に行けるが、北海道から内地に行くには飛行機か新幹線、フェリーと手段が限られる。
④ 札幌で完結するから。
→岩手出身の私のまわりには最低盛岡、できれば仙台で買い物をする、という人がたくさんいた。しかし、札幌は200万の大都市であり、買い物も、教育も、食事も、観光も札幌がすべてをかなえてくれる。
⑤ テレビ番組で北海道以外が出てこない。
→岩手であれば、夕方の地元情報番組も岩手だけではなく、東北地域へを取り上げることがあったが、北海道の夕方情報番組は、北海道の中の道北、道南、道東などこれまた北海道ですべてが完結してしまう。

 ほかにも考えればいくらでもあると思うが、私が特に注目したい、というか興味があるのが、⑤のテレビや新聞など道民が日常で接するメディアである。

少し下調べが必要なことなどで、仕事の合間にできれば、このことを追及してみたいが、今は覚書に収めておく。

メディア社会学に関する書籍を少し洗っていく予定。

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