見出し画像

徐々に崩壊し始めた生活

終焉は、高校の帰りの車の中で流れる
ラジオの放送で告げられました。

『○○生命株式会社、倒産。』

父は運転しながら
青ざめた顔をしていました。

保養所の母体である生命保険会社が倒産。

その瞬間
わたしの両親は
職も、住むところも
失うこととなったのです。

私達家族は
不便だけど住み慣れた場所を離れて
引っ越しをしました。

母は新しい仕事を探して
昼夜掛け持ちで働きました。

しかし父は、
なかなか新しい仕事も見つからず
家に引き込もる日々。

時々、ホテルの送迎バスの運転手の
仕事をしていましたが
父が仕事に行くのは、月に数日間。

私は高校3年生になり
部活を引退してからは
自分の自由なお金を得るために
バイトを始めることに。

家の近くに新しくできた
ラーメン屋の
新規スタッフとして働きました。

店長は
テンションが異様に高く
松岡修造のように暑苦しい人でしたが

副店長は真逆の人で
口は悪く態度も横柄で
怖そうな人でした。

ある時、私は仕事でミスをしました。
お客様に提供するラーメンの
テーブルを間違えて置いてきてしまったのです。

すると突然、キッチンから

「よしだ!!!!」

と、店内中に響き渡るほどの
怒声がとんできたのです。

振り返ると、そこには鬼の形相の
副店長が立っていました。

周りも唖然とする勢い。

その怒声に、もちろんわたしも驚きましたが
わたしが失敗したのは事実であり
申し訳ないという気持ちがあったのも事実です。

そう思って、
バイトから上がる時に
「すみませんでした!」
と謝りに行ったところ
副店長は少し驚いた顔をして

「次からは、ちゃんと気をつけろよ!」

と一言だけぶっきらぼうな
返事をくれたのですが
翌日から一目おいてくれる
ようになったのです。

当初はホールのリーダーを
店長がお気に入りだった女の子が
やっていたのですが、
その女の子の効率の悪さをみかねた副店長が、
わたしをホールのリーダーに
抜擢してくれたのです。

副店長は
仲良くなるととても面白くて
人情に厚い人だとわかりました。

最初は不安でいっぱいだったバイトも
徐々に慣れてきて楽しくなりました。

高校生活においてもわたしは
人間関係に悩まされ
いじめにあっていました。

クラスメイトから
シカトをされる事はもちろん

インターネットが使えるようになった
携帯電話の進化に伴い
出会い系の掲示板サイトに
メールアドレスを載せられて
大量のメールを受信しそうになったり
嫌がらせの内容もデジタルへと進化。

直接的な攻撃でない分
誰がやったのか分からないことによる
精神的な不安がありました。

それでも悲観的にならずに済んだのは
バイトをしながら
様々な年齢層の方々と働く事で、
自分の世界が少し広がったおかげだったと
思っています。

しかし、そんな頑張りとは裏腹に
わたしの家の経済状況は
どんどん悪化していきました。

お給料日が来ると必ず親から
「お金を貸してほしい」
と毎月言われるようになっていったのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?