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市長から「市民の声を直接聴きたい」と役場に集められて一人ひとり意見を述べさせられる会合の生産性から考える、機能する組織チームの重要性

今日はうちの市長発案の意見交換会「地域の日」なるものに出席してきました。市内5地区を回りながら、市長が設定したテーマに関わりのある地域住民が10~15名程度ピックアップされ、市長に対して率直な思いを打ち明けるといった趣旨の会合です。

記念すべき第1回のテーマは「若者対策」とのことで、事務局からなぜか若者の一人と認識されて釣り上げられました。

ただ私は市職員としての立場ではなく、マルシェの主催などのプライベート活動に注目し選んでもらったようです。まあ職場にいてもなかなか市長と話をすることがないので、せっかくの機会だからと思いお受けしました。

しかし個人的には、そもそもこの「地域の日」という意見交換会の制度自体に色々と思うところがあったので(地域の日というネーミングセンスにも)、市長の部下という立場でありながらも会議の空気をお構いなくぶっ壊しにかかった顛末をここに書き記しておきたいと思います笑。

「地域の日」の概要

【目的】市長が直接市民の声を聴き、政策に反映させることを目的とし、「地域の日」を設ける。
【開催回数】各地域(5地域)において年2回
【実施内容】市政に関する意見交換 ※テーマは市が選定
 ・市長からの説明
 ・意見交換
【出席者】
 地域:テーマに関する各種関係団体から選出された者(各地域10-15名)
 市:市長及びテーマの関係部署

集められたメンツと会合の様子

私以外に出席していたのは、個人経営の農家さん、牧場の従業員さん、社会福祉協議会の職員、福祉事業従事者、保育園の経営者、伝統工芸品の職人、美容師、コミュニティナース、地域活動家、などなど。

事務局は市長、副市長、部長、支所長ほか担当課職員。

はじめに市長からこの会合の趣旨や、本市の人口減少問題、現在の若者・子育て支援政策の説明がされた後、もっと若者が住みやすいまちにするためにアイデアがないかと投げかけられました。
意見交換では「浜田市に住んでいて思うこと」「若者が暮らしたいまちづくりのために必要なこと」という2点について各出席者がひとり5分程度で意見を述べるという流れでした。

ただ出席者はそもそも「市長と話したい!」と立候補したわけでもなく、事務局の職員から「お願いします!」と頼まれて参加している人が大多数なので、与えられたテーマについて明確な思想や意見を持っているわけでもなく、更になかなかの堅苦しい雰囲気の中で語れと言われても土台無理な話なわけです。実際ガチガチ緊張で本音の話できてなかった方が多かった印象です。

集団面接みたいな圧迫感満載の時代遅れな会議スタイル

参加者のテーブルはコの字型に並べられ、空いた一辺を埋めるように市長ほか管理職のテーブルがあり、その後ろには事務局がずらりと座るといった”ありがち”なレイアウト。
一人ひとり指名されて発言し、気になる内容について市長がコメントするといった既視感強めな進行。
今日は集団面接の日ですか?と勘違いしてしまうほど。

この日の私の出番は12人中最後から2番目でした。

ずっと同じテーマで同じような話を聞かされる市長の心持ちを慮って笑、私は本題をスルーしてこの会合の意義・本質に迫ってみようかと思い。

結果、出だしから「この地域の日っていう取組自体にモノ申させていただきますが…」とか口走っちゃって、そこから尻上がりにヒートアップしてしまいました笑。

首長が直接住民の声を聴く意義とは

結局、席についている時間ずーっと思ってたのは、「こんなん市長パフォーマンスやん」の一言。

こんな生産性の低い会合意見のどこをどう吸い上げて政策に落とし込めるのかさっぱり見えません。私が事務局だったら発狂してますね笑。

直接市民の声を聴くのはペーペーの職員でもできるわけです。問題をはそれを政策に落とし込めるかですけど、それも若手職員に教育投資をしてどんどんスキルアップさせて、質の高い政策をボトムアップで進めていけばいいわけです。
こうして市長が出しゃばっちゃうから若手は萎縮して結果言いなり公務員が量産されていくんです。どう考えても発想が逆です。

首長は住民の代表であると同時に「役場組織のリーダー」でもある

やっぱりいい政策を生み出していくためにはいいチームであるかどうかが大前提にあると思うんです。そもそもいいチームだったらこんなクソなアイデア形にしませんよ。市長に言われてモチベーションも上がらずエイヤーでこしらえたイベントにしか見えません。

市民の声を聴く以前に、職員の声をちゃんと拾いましょうよ。くすぶってる職員相当いると思いますよ、僕みたいに笑。職員一人ひとりが自立して働けるチームづくりのほうが先決です。機能する組織を作り上げるためにリーダーとして何ができるのが、市長には真剣に考えてほしいと思います。

「うちのチームは最強」と言えるチーム作りができているか


最強の地方都市と言われる福岡市の高島市長は、自身のブログでこのように綴っておられます。

「手前味噌ですが、前例のないことにチャレンジをして結果を出す福岡市役所の職員は今最強チームだと思うし、そこで挑戦できる環境にある自分は本当に幸せだと実感しています。」

高島宗一郎オフィシャルブログ By Ameba  2020/10/29

こんなこと言ってくれる市長かっこいいなぁ。

少なくとも今日の私の一撃でうちの市長も少し変わってくれるといいなと…期待はしませんが笑。

組織が変わるということはそう簡単なことではないですが、「地域の声を聴き、政策に反映させる」という目的を達成するのなら、まずは組織の中の状況をしっかり見つめなおすことから始めるべきだと私は思います。


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