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ゆるキャンで見る富士山を巡る静梨の乱

ゆるキャンの魅力といえばキャンプの描写とかキャンプ飯がおいしそうとか心地いい人間関係などがありますが、そういう事を取り上げる記事はたくさんあり、今更そういった魅力について書いても何番煎じになるか分かりません。今回は恐らく誰も触れていない着眼点からゆるキャンについて書こうと思います。


ゆるキャンでは度々富士山を巡る静岡と山梨との抗争をネタにすることがあります。原作漫画でいうと「へやキャン△」という1回につき2ページの番外編で描かれます。アニメ1期では予告前のミニコーナーに、去年は同名で単独のアニメ化もされました。
富士山を巡るとなれば静岡県民である私も黙っていられません。今回はどのような内容か紹介したいと思います。

※注意
・1月に発売されたゆるキャン11巻も内容を含みます。2期でアニメ化されないとも言い切れないので注意してください。もう読んだという方と別に構わないという方だけ下記へ進んでください。


・富士山はどちら側が表か
原作5巻で挙げられた話ですが、これはのっけから殺伐としかねない。静岡県民は静岡側と言い山梨県民は山梨側と言う繊細な問題に対しなでしこは「どっちも綺麗だしどっちが表でもいいと思うんだけどなあ」と言います。ド正論過ぎるし元々静岡県民であり引っ越して山梨在住となったなでしこはどちらにも付かず中立の立場を取るというスタンスも素晴らしい。富士山のみならず如何なる問題もみんながみんなお互いを認め合えばこの世は平和になるのに・・・。


・テンプレートな富士山の絵はどちら側か
原作10巻収録でこの回は去年放送されたへやキャンでアニメ化されています。
イラストでよく見る富士山はどちら側から見た富士山かという話なのですが、私は今までこんな事考えもしなかったですし、もしそう聞かれたら考える事もなく反射的に静岡側と答えるでしょう。

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こんな感じのイラスト。これはどことなく山梨から見た富士山のような・・・。

これに対し、千明が言うには「西から見れば大沢崩れ、南から見れば宝永山、東から宝永山と吉田大沢が見えるはず、つまりイラストの富士山は北(山梨)から見た富士山」との事。これは目から鱗でした。確かにそう言われると山梨側の富士山なのだろうか・・・。
漫画ではどっちでもええわというオチで終わりますが、アニメではもう少しだけここから派生します。確かに今まで気にしたこと無かったから正直どっちでもいい・・・。


・富士山論争の終結
原作コミック11巻収録の回です。
ついに静梨富士山論争に終止符が打たれると言う千明。その内容は今でも少しずつ崩れているという大沢崩れがこのまま崩れ続ければ富士山はいずれ2つに分離するという事でした。確かに2つあれば取り合いにならない!これも目から鱗でした。BUMP OF CHICKENの楽曲『メーデー』の「分かち合えるもんじゃないのなら二倍あればいい」というフレーズが思い出されます。この場合2倍ではなく2分の1ですが。
話のオチ通り、私たちが生きている間にそんな事は起こらないと思うので心配する事はありません。むしろ富士山が2つになったらそれはそれで騒ぎになるのでどうか唯一無二の美しい姿形のままでいて欲しい。


以上3つ取り上げました。ご覧の通りゆるキャンで描かれる静梨の乱では、結局富士山はどちらの物か明言はしていませんし、乱と言いながらも争っているわけではありません。そもそも明言すればそれこそ争いの火種になります。
むしろどちらの物かと考える事自体が野暮であり平和的ではありません。富士山は両県にとっても大事な山であり、世界遺産に登録されたように日本に留まらず世界にとっても後世に残したい遺産として扱われている山なのです。

だからやれ静岡が表側だのやれ山梨側は1000円札に描かれているだのとどちら側の富士山が優れているかで争う必要はありません。私たちが見ているのは同じ1つの山なのですから。
ゆるキャンでは、キャンプはソロでやる方がいいかグループでやる方がいいかで優劣を付ける事はありません。互いの在り方を認め合い尊重し、ソロもグループも同等に楽しい事を表現し続けています。それは原作コミックや今後話が進む2期を見れば分かります。ゆるキャンは、キャンプだけではなくこうした富士山を巡る抗争についても山梨が舞台だから山梨の肩を持つ事はなく両立の立場で、どちらから見る富士山も素晴らしい事を伝えようとしているのです。


3回連続でゆるキャンに関連した記事を書きました。今後これらの記事はゆるキャン3部作と自称していく事になりますが、やはり○○3部作は自分から言うものではない気が・・・。

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