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【本編】Change the World 第20章~心配してくれてありがとう。でも大丈夫!

生きている限り、僕らには叶えたい願望や達成したい目標が付いて回ります。もっと良くなりたい、もっと幸せになりたいという飽くなき欲求は、生きている限り消えることがありません。

僕らはいつも自分の幸せを願います。幸せの要素をヒト・カネ・モノといった具合に細分化して、それらを「自分のものにしたい」というのが願望なわけですが、実は僕らは願望などというものは持っていないのです。

これは理屈で気付いてもいいし、言葉としての矛盾に気付いてもいい部分です。僕らは、何かを手に入れたいという願望が起きたときに、つい「◯◯が欲しい」と願ってしまいます。

ここでは、お金を例に話を進めていきましょう。お金が欲しいと願っているときは、お金を手に入れることによって自分の現実を変えたいというのが根底にあります。

本当に変えたいのは自分の現実なわけですから、「お金が欲しいと願う」に「現実」という言葉を付け加えてみます。そうすると「お金が欲しい現実を願う」ということになります。

さて、どうでしょう。本当にそれが望んでいることでしょうか。実は、あなたの願望に「現実」を付け加えると、願いの言葉と実際に欲していることの間に矛盾が生じるのです。

僕らは、何かを手に入れたい、自分のものにしたいというときに、つい「欲しい」という言葉を使ってしまいます。その結果、「恋人が欲しい現実」を願い、「お金が欲しい現実」を願ってしまうのです。

お金が欲しいと願っているとき、「お金が欲しい現実」は既に嫌というほど叶っているでしょう。恋人が欲しいと願っているとき、「恋人が欲しい現実」は目の前にあるでしょう。

これらは当たり前のことですが、この当たり前の中にヒントが隠されています。僕らが苦しむときは、それらを「なんとかしたいとき」です。恋する相手やお金であれば「手に入れたい」と思いますし、嫌いな人や嫌な過去は「消えてほしい」と思います。

なぜ「手に入れたい」と思ったり、「消えてほしい」と思ったりするのでしょう。これが意外と単純な理由で、それらが手に入ったり消えたりすれば、そのことについて考えなくて済むからです。

「そのことについて考えなくて済むと思っているから」といった方が正確なのですが、僕らが願望に求めているのは「そのことが頭から離れること」なのです。

好きな人のことを考えなくて済むようになりたいとはけしからん、そう思うかもしれませんが、俗にいう恋の病とはその人のことが頭から離れなくなることをいいます。

「頭から離れる」「気にしなくなる」ということが、あなたにとってどのような状態かを考えてみてください。「その人」が頭から離れているなら、それが好きな人であっても嫌いな人であっても、何らかの形で解決したのでしょう。

それがお金のことである場合も同様に、お金のことが頭から離れているなら、お金の問題は何らかの形で解決したのでしょう。僕らは、「そのこと」が頭から離れない状態が苦しいのであって、「そのこと」自体が苦しみを生んでいるわけではないのです。

願望が叶った状態というのは、頭の中で「そのこと」が過らなくなった状態です。その人、或いはそのことについてヤキモキしなくなったらと考えてみてください。あなたの頭の中を荒らすものがなくなり、スッキリとした気持ちになっているでしょう。

願望とは、そのことを願っているのではなく、そのことが頭から消えることを願っているのです。お金が欲しいという願望であれば、「お金が欲しい」という考えが消えてほしいという本音が根底にあります。

頭の中では口癖のように「お金が欲しい」と言いながら、実際に願っていることは「お金が欲しいという思いが頭の中から消えること」。シンプルであるが故に、考えれば考えるほど複雑になってしまうパラドックスのせいで、願望実現は難しい話になってしまうのです。

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