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【本編】Change the World 第17章~自分と自分以外の境界線

あなたの現実ではなにが起こっているでしょう。嫌なことが起こることもあれば、楽しいことが起こることもあるでしょう。あなたは現実にしがみついて生きていますか?現実は厳然とそこにあって、あなたを苦しめていますか?では、そもそも現実とはなんでしょう。

例えばお皿を洗っているときに、不注意でツルリと手が滑ってお皿が割れてしまった。このとき、僕らは「お皿が割れた」と認識するわけですが、その認識の前にあったもの、そして認識した後にあるものはなんでしょう。

当然ながら「お皿が割れた」という認識の前には、それまでお皿として存在していたものが破片になったという出来事があります。お皿が破片になった姿を見て「割れた」と認識するわけですが、認識した時点でそれはもう起こってしまった後だということになります。

では、「お皿が割れた」と判断した後はどうでしょう。なにかの記念にいただいたものなら悔いが残るでしょうか。実家で余っていたから貰ったとか、買い物のついでになんとなく買った、といった程度のものであれば悔いは残らないでしょうか。

自分の不注意で割ったのか、自分以外の誰かが不注意で割ったのかによっても感じ方は変わるでしょう。ここではお皿が割れたことを例にしていますが、あなたが大切にしている何かが壊れたという場面に置き換えて考えても良いです。

誰が壊したのか、なぜ壊れたのか、それによって感じ方は変わるでしょう。壊してしまった自分を責めたり、壊した人を憎んだりするかもしれません。壊れてしまった破片を見て悲しくなったりするかもしれません。

一つ確実に言えることは、悲しんでも悔やんでも憎んでも、お皿は元には戻らないということです。お皿が割れたことは事実です。もう既に破片となってしまってお皿としての機能は果たさないでしょう。

悲しんだら元の形に修復されるでしょうか。壊した人を恨んだらお皿が割れたという事実は消えるでしょうか。割れたものは割れた。起こってしまったことは起こってしまったこと。悔やもうが怒ろうが、それはどうしようもないことです。

さて、ここまでは納得できたでしょう。では、先ほどのお皿を、あなたの現実に置き換えてください。あなたが願望を持っているのであれば、あなたの現実で何か壊れているものがあるのではないでしょうか。

人間関係であれば、信頼関係が壊れる。二人の関係が壊れたなどと表現するでしょう。経済的な問題であれば、バブルが崩壊する。経済が壊滅するなどと表現するでしょう。

僕らは物質だけではなく、「信頼関係」や「経済」といった物体ではないものに対しても「壊れる」という言い方をするのです。願望とは壊れた何かを壊れていない状態にしたいということ。そう考えると、しっくりくるのではないでしょうか。

人間関係に悩んでいてなんとかしたいということであれば、人間関係が壊れているということですし、経済状態に悩んでいてなんとかしたいということであれば、経済状態が壊れているということです。

あなたはなぜ、人間関係あるいは経済状態が壊れたと感じたのでしょう。「実はそんなことは起こっていませんよ」と慰めを言うつもりはありません。あなたの人間関係は実際に壊れたし、経済状態も実際に壊れたのです。だから壊れたと感じたのでしょう。

お皿が割れたのが事実であるように、人間関係や経済状態が壊れたのも事実なのです。だからそれはもう仕方がありません。起こってしまったことは起こってしまったことなのです。

僕らが苦しむのは、お皿が割れてしまったことを知りながら、それを認めたくないときです。「どうして割れてしまったんだ」「こんなこと起こらなければいいのに」。そう言ったところで現にお皿は割れたのです。

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