見出し画像

【日刊ドローン情報 No.136】首都高、ドローンや360度カメラ、3Dスキャナによる橋梁点検の最新技術を公開。架設47年の荒川湾岸橋で作業者の負担減らす

 インフラ設備の維持・管理にドローンや3Dスキャナ,カメラは非常に有効です。ただ,これらのツールを導入すれば,すぐに点検作業が効率化されるわけではありません。効率化するためには,これまでの点検方法について整理するという下準備が必要です。
 例えば,今回の首都高速道路の例では従来,「巡回点検」「徒歩点検」「近接点検」「目視点検」「画像による点検」と5つの点検方法により点検していたということです。まずはこれらの点検を,なんのために,どのような部位を点検していたのか,といった観点で整理します。例えば,巡回点検は大まかな劣化兆候を把握するために部材全体の外観を確認する,徒歩点検は具体的な劣化箇所を特定するために部材のボルト等接合部を確認する,など。
 次に,上記の点検を目的別に整理し,新技術を用いた点検を適用する範囲を決定します。当然,点検部位やその細かさが異なれば適用するツールも変わるでしょう。記事の例でも,床版下面や縦桁はロボットで行いますが,複雑な構造の橋の場合は点検できない場所が多いため,その部位をドローンでカバーするようです。
 ここまでくれば,大体の場所は点検できることが確認できますが,次はそれらのツールで見れない箇所はどうするのか,見れなくてもよいのか,見れないことによるリスクはないのか,といった点について分析します。リスクが高い場所については従来通り点検する,リスクが低い場所については割り切るなどの整理をして,ようやく点検方法の全体が整理され,これまで人力でまんべんなく行っていた点検から,新技術を用いたメリハリのある点検となり,省力化・省人化につながります。
 上記のようにおおざっぱに書くと単純ですが,実際の設備は同じような物ばかりではなく非常に複雑です。単にツールを導入するだけでなく,それらを分類分けして単純化することこそが,ツールを導入するメリットであり,DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質なのでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?