「人的資本情報の開示」が気になっている人事のための「脱予算経営」のススメ
Scrum Inc. Japanで人事兼アジャイルコーチとして活動しています、庭屋です。
アジャイルな組織を作るため、人事の目線でどのように活動するのが良いか、発信をしております。
今回は最近人事の関心ごとになっている「人的資本情報の開示義務化」について、どのように対応すべきか?のヒントになる本を紹介したいと思います。
「人的資本情報の開示義務化」の背景
欧米を中心に、投資家が財務情報だけではなく、「人」の観点で企業を評価するトレンドが広がっていること、と言われています。
そのトレンドの影響もあり、金融庁から「企業内容等の開示に関する内閣府令」が公表されました。この内容がいわゆる「人的資本情報の開示義務化」
です
どのように対応するか、というと「有価証券報告書」等に【サステナビリティに関する考え方及び取組】の記載欄が新設されました。
つまり、投資家等から出資を受けるなど、企業の活動を成長させるためにはこれまでの「財務状況」だけでなく「人」に関することの対応優先順位が上がってくることになります。人事としてはこれに対応していかなければなりません。
これまでの財務状況の開示で起こっていた問題
これまで財務情報、決算を管理、開示するための方法として使われてきた「予算」ですが、課題も抱えていると言われています。代表的なものとして2点挙げます。
・予算の作成にコストがかかる
予算を作成するのは組織の上位層です。最上位から提示されたものと、各部門から上がってきたものを突き合わせ、各所と調整し予算を作成することになります。
予算管理に費やされる時間は平均で4~5ヶ月、エグゼクティブ&財務のマネージャーの時間の20~30% を占有している、というデータがあります。※
予算作成、管理は単価の高い人間のリソースを費やしている、という事実があります。
・数値目標を立てることによる意図せぬ力学が発生する
(人事の方であれば良く理解されてるとは思いますが)
予算という金額的な数値を「必達目標」として立ててしまうことで、意図せぬ行動を引き起こす要因となります。(部署間の連携、評価など)
有価証券報告書で人的資本情報を開示することにより、組織として同様の問題を引き起こす可能性が生まれました。
今人事が読むべき「脱予算経営」とは?
財務の領域で起こってきたこれらの問題に対応した考え方、事例がまとめられている本、それが今回紹介したい「脱予算経営(Beyond Budgeting)」です。
この本の中で語られていることで個人的に印象に残っている事柄をピックアップすると
1:コーポーレートガバナンスを維持、強化しながら
2:組織として権限移譲、自律型のチームを育てていき
3:経営&マネジメントが計画手動から変化への適応への移行
を叶えている点です。
財務面のきっかけで生まれた書籍ですが、このピックアップされた事柄を見るとこの環境の変化に応じて人事としても読んでおくべき本かと思い紹介しました。
と言っても理解し切れている自信はないので、もし本を買われた方がいれば読み合わせして理解を深める、などしてみたいです!