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携えの無い帰路 7/4の日記

退勤間際、スマホの充電がなくなり電源が切れた。

充電コードは持ってるし電源も目の前にあったが、別にこれから帰るだけだからいいや、と荷物をまとめ会社を後にした。

少し前にスマホを模した黒いただの板が話題になったが、私が左ポケットに入れているそれも黒い板同然だった。
スマホの無い帰り道、どんな感じなんだろうと少しワクワクする部分も正直あった。

わりと遅い退勤になってしまい空腹状態だったので、会社のそばで夕食を済ませようと店を探す。
マックとかカフェとかに行けば電源はあるから食事中にタプタプと充電することはできたが、謎の縛りプレイへの意欲からその選択肢を捨て、某牛丼屋に入る。

ペ....

PayPayつかえね〜じゃん!
スマホがない弊害第一号だった。
食券機の前で一瞬戸惑うも、PASMOで支払う。

当然牛丼屋のカウンターにはコンセントはなく、残り少ない焼肉のタレと乾きかけた紅生姜しか置いていない。


……
暇だねぇ

普段だったらほんの少しの待ち時間でもスマホを眺めていたから、それができず目の前のほうじ茶を眺めることしかできない。

すぐに牛丼を受け取ったが、食事中も若干の不便を感じた。
普段こういう場面だったらイヤホンで何かしらを聴きながら食べているため気になっていなかったが、調理場のガチャガチャや隣のおっちゃんのズルズルピチャピチャがダイレクトに耳に入ってきて辛い。
よそ見もしないため一瞬で食べ終え、店を出る。

帰りの電車に乗ったが、ここでも何もできない。
聞きたくもない話が飛び交う。
AAAの弟分のグループを推しているアラフォー女子、練習試合で気になる子を見つけた大学生、ゴミ出しの曜日の違いで盛り上がるおじさん、、、
普段いかに自分が世間をシャットアウトしているかを痛感した。
考えてみれば朝はイヤホンを付けたまま家を出てそのまま会社に着いているし、帰りは会社を出てから家に着くまでイヤホンをしている。

本当の意味での“世間の声”をまったく聞けていなかったことに気付かされた。
イヤホンを通して芸人やライターの声(ラジオ)は聴いていたが、世間一般の人々が日々何を考えていて何を話題にしているかについて完全にシャットアウトしてしまっていた。

朝は通勤ラッシュで私語厳禁の雰囲気がただよっているが、帰りはゆとりがあって複数人で話していることも多い。
イヤホン詰めて世間をシャットアウトせず、たまには耳を傾けてみるのも面白いのかもしれない。

そう思いながら家に着くとすぐに充電コードをスマホに繋げ、起動すると同時に世間を完全にシャットアウトして目の前の黒い板にかじりついている自分がいた。

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