もう春が来た

一匹の蛙 星を掴もうとした
底の見えない夜 井戸の水面はしんと揺れる
一緒だと思った 映る星も浮かぶ身体も
掴めると思った 小さなこの両手で

踏まれた蕾 また咲こうとした
底の見えない夜 周りの仲間はりんと揺れる
折れた腕が痛い 腐り始めた皮膚を無視して
咲けると思った 憧れという雨で

「炭水化物取れるようになったよ」
そう言って泣いた君が
終わったと気付いた
そこまででやっとプロローグだよ

もう春が来た
雨の予報は外れてしまった
いつの間にか遠くに来たな
紛れもなく自分の足で
発作のように泣かなくなっても
焼き付くようなお前の光 私が忘れない

もう春が来た
私も魔法もなんだったんだろう
わからないけどわかってたまるか
死んだりしない こんなところで
この画面から顔を上げても
焼き付くようなお前の光 私が忘れない

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