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#左手

【小説】左手屋

『左手屋』なんて不気味な店名からして、もっとおどろおどろしい見た目の商品が出てくるものだと思っていた。俺は今、薄暗い店内のカウンターにごろんと置かれた左手を見ている。左手というより、左手の形を模したゴムの塊か。
「レンタル期間はいかがなさいますか」
「あー……えっと」
左手の横にある料金表に目をやる。48時間から……2万円!思わず顔を料金表に近づけて注視してしまう。
「じゃ、じゃあ、一番安いので」

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