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【小説】虹をかける

職場近くの街中華は、量が多い。皿に散らばる炒飯の粒をレンゲでかき集める。最後の一口はお茶碗一杯分に相当するんだよね、というナナコの冗談を思い出す。
背中から聞こえてくるワイドショーが、近くの山道での事故をのっぺりとした口調で伝えてくる。バイクが横転、転落、後ろに乗っていた女性は病院に運ばれたのち死亡が確認され、運転していた男性は意識不明の重体で……
気を抜くと逆流しそうになる炒飯を水で流し込み、会

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