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ミスiD2022

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2022年2月の記事一覧

ぼくたちの敗北賞

「見てほしいという気持ちだけで、何の武器も持たずにここまで来ました。」
私が最終面接で喋った言葉だ。私には何もない。

私には目に見える武器がない。文章が武器なのではと何度も言ってもらったことがあり、その言葉をかけてくれた人には少し申し訳ない気持ちがあるが、文章は武器ではない。文章のうまさで言えばあの子の方が何百倍も上だ。あの子の的確な比喩表現にはいつまでたっても敵わないし、あの子の絶妙なバランス

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最終面接

パフォーマンスの最中、選考委員さんの一人が水を飲んだ。それだけで世界の終わりを告げられたような気がした。

あそこで私がパフォーマンスを中断して怒り出したら印象に残ったのかななんてことを今になって考える。それでも「続けて」って言われたら「何を偉そうに」って返して…。
あとから想像することならいくらでもできる。エントリーシートにも書いたが、何かあったときにその場で笑うことしかできないのが私だ。後から

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こんなんでファイナリストになれるのか

そんなような言葉を見かけた。それは私にかけられた言葉ではなかったが、私はモヤモヤとした気持ちになってしまった。

おそらくその言葉を発した子と言われた子の間に何かあったのだろう。もしかしたら暴言や嫌がらせがあったのかもしれない。理由や事情が何一つわからないので、今私がこうして文章を書いていいのか疑問ではあるが、どうしても、どうしても言いたいことがあったので書きたい。

(まず、本人に伝えようかと考

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そんなにかっこよくないよと叫びたい

苦しい。今の私がそう言ったら何人の人が傷付いてしまうだろう。
つらい。今の私がそう言ったら何人の人が「通ったくせに何言ってるんだ」と思うだろう。

自分が言葉を発したあと、いつもいろんな声が聞こえてくる。実際に聞こえてくるわけでもなければ、相手がそう言ったわけでもない。心臓の中に別の私の声が響く。それ、相手は傷付くかもよ?

想像が得意だ。実際の会話より、自分一人で物語を作る方が何倍も得意だ。だか

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