焼肉まみれの青木さん
からっきしモテない青春時代を過ごした私だが、インターネットの世界では割とモテていて、会ってみたいという物好きが結構いた。それはきっとイケメンに会いたいという感覚ではなく、近くの動物園にめずらしい柄をしたメガネザルがやってきたから見に行きたいだとか、そういった話なんだと思う。
青木さんもその一人で、年上で真面目で長時間勤務の仕事をしていた。青木さんは淡い水色の車でメガネザルを見に来たものの、申し訳ないぐらいにまったく私の好みではなかった。
”見た目より心から入る”私の哲学に反したが、生理的に受け付けないというのはこういったことを言うのだろう。まったく写真等を交換しないで会ったから起きてしまった悲劇だが、話せば楽しいし帰るわけにもいかず、最初で最後のデートで「すたみな太郎」へ連れて行った。
せっかく来てもらったのだから、安い肉であっても楽しんでいってもらおうとフルサービスを行い、私は青木さんに食べさせて食べさせて焼肉まみれにした。すたみな太郎は食べ放題だったからそれは好都合だった。
昼からの集合だったものの、満腹になりそれで早々に解散した。それぞれが1kg近くを食べて満腹かつ楽しい焼肉だったが、”人生で女性にした一番ヒドイこと”と聞かれれば、その時のすたみな太郎が頭をよぎる。
だからそれ以来、二度とすたみな太郎には行っていない。本当にごめんなさい。
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