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認知行動療法part5

季節はまだ冬ですが、次第に日差しが優しい暖かな色味を帯びてきました。
散歩をしていても、木々を見ると小さな蕾をきゅっとつけており、確実に春に向かっているのだと実感します。

さて、前回に引き続き、認知行動療法について書いていきたいと思います。
今回は認知行動療法の技法のなかの、「行動活性化」についてとりあげます。

うつ状態の時の思考

私たちは、日々何らかの行動をして生活しています。
行動と聞くと、「動くこと」といった動的なイメージがあるかもしれません。
しかし、静的な行動、あえて行動を控えるとということも行動の一つと捉えられています。
気持ちが落ち込んでいる時は、「しなければいけないこと」があったとしてもやる気が起きなかったりして後回しにしがちです。

例えば、ある仕事の資料提出日が一週間後に迫っているとします。その時に「やりたくないな。」「面倒くさい。」といった考えが浮かび、それによって気持ちが憂鬱になり、更には不安が増してきたとしましょう。
そう思っているのならば、少しずつでも仕事に着手し、こつこつやっていくことが自分も後々困らないだろうと分かっていますが出来ない時がありますよね。
うつ的な思考パータンでは不安や、やる気が起きないということがあるのでしないといけない事を遠ざけてネットサーフィンをしたり、退社後も不安を軽減する為に、沢山お酒を飲んでしまうといった事をしてしまう場合があります。
これらは、「回避行動」といわれ、回避しているにすぎないので、ますます辛い状況へと自分を追い込んでしまいます。

行動の種類

上記のように、しなければいけない事があっても、それを紛らわせる為に行っている行動を「回避行動」といいました。
これに対し、うつ状態ではなく、比較的元気な時におこなっていた行動を「健康行動」といいます。
「健康行動」は心が元気な時にやっていた行動で、具体的には喜びや達成感、最初は少ししんどいと感じられますがこつこつ対処していく行動を指し、最終的には仕事が終わったりと長期的な視点でみると自分が楽になる行動を指します。
一方で、「回避行動」は、うつ的な思考と関連している行動で、やらないといけない行動があったとしても、そこでわいてきた嫌な気持ちも影響し、回避する事から生じる行動をいいます。
例えば、大量にお酒を呑む、長時間ゲームをする、ネットサーフィン等があげられます。
ここでは、飲酒やゲームが悪いことなのではなく、気分転換に友人と飲んでご飯をゆっくり食べて気分転換が出来たという事は問題ではないです。
いかにそういったものを、自分の生活に上手に取り入れ、付き合っていくかだと思っています。

回避行動の増加

うつ的な思考の時は、こうした回避行動が一日の活動量の中で増加していることがあります。
回避行動が増えてきますと、行動と気持ちは連動していますので、負のスパイラルのように気持ちも落ちていってしまいます。
辛い状況の中で無理をして、健康行動を増やそうとしなくていいと思います。
今、自分はどうやら回避行動が多くなっているなと気が付くだけでも、大きな変化なのです。
また、こうした落ち込みをコントロールするには、何も無理して行動を変えるという事ではなく、別の行動に置きかえてみるということもできます。
例えば、ネットばかり見ていたら疲労してきたので、美味しいお茶を一杯自分の為に入れて、クールダウンしてみる。
この時、丁寧に観察すると、お茶を飲むことで気持ちの切り替えが出来て、しかも美味しいお茶を味わい少しだけ豊かな気持ちになったりすることもあります。

健康行動を無理なく増やす

こうした気分と行動の関連性について気づきがえられるよう、その人その人の体験に基づいたところでクライエントと共有をしていきます。
そうして、例えば活動記録表というものをつけていただき、それを振り返りながら自分の行動パータンを把握します。
活動の振り返りの中で、自分にとって心地よいと思う行動を増やし、次第に一時しのぎでおこなっている回避行動を減らしていきます。
快適な行動を実生活でどのタイミングで実行していこうか計画を立て、その後の気持ちと行動の関連を振り返ります。

この時の行動はスモールステップに分けることが大切です。
そして、行動はあくまでも実験であると気軽に捉えて、その行動によって快適だと感じられなくても、過度に気にしないで、次の実験を共に考えていきます。

また、快適な行動をとっていたとして、例えば頭の中でぐるぐるとネガティブな事を思いながら行動していたとしてたら、それは快適な行動にはなりません。
それは、動きながら考え事をしていたという行動になってしまいますよね。
でも、ネガティブな気持ちというものはなかなか頭から離れないことでもあるので、そうしたぐるぐる思考に対しては「認知再構成法」を使用したり、考え事を他の代替行動に置きかえるという事も用いられます。
例えば、ガーデニングをしていてぐるぐる考えしまった場合には、目の前にある草木に注意を向けてみる、土の匂いを感じるといった具合に置きかえていきます。

認知行動療法は、最終的にはセルフケアとしてクライエント自身が身に着けてその後も何か起きた時に、自分で使えるようになっていってもらうものです。
あくまでも、カウンセラーは実験の協力的存在として、邪魔にならないように、でも共感的に誠実に共有していくことだと考えています。
繰り返しになりますが、認知行動療法はその人のその人の心のタイミングもあり、うつの状態が強い方には負担になることも大いにありますので、丁寧な話し合いの上に実施されるものだと理解しています。



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