世界に取り残されたような感覚
昔から、寝つきの悪い子供だった。
4~5歳くらいのとある夜、私だけがなかなか寝付けず、一人不安に襲われていた。
両親も兄たちもぐうぐう眠ってしまい、豆電球だけがついた暗い部屋に一人で起きていることが本当に恐怖だった。
まるで自分一人だけが世界に取り残されたような感覚だったのだ。
泣きながら母親を起こした。
「怖いよぅ、眠れないよぅ」
母親は眠くて仕方ないのに起こされて参った様子。
「ばあちゃんのとこ行きなさい」
そう言ってまた眠ってしまった。
私は枕を抱え、同居しているばあちゃんの部屋に行き、ばあちゃんを起こした。
「ばあちゃん、寝れないの」
泣きながら話すと、
「あかりつけて漫画読んでいいよ。眠くなったら寝れるから」
そう言ってくれた。
ばあちゃんは部屋が明るくても眠れる質なのだ。
私は、自分の居場所ができたみたいな感じで、不安がすっかりなくなった。
夜中にこうこうと明かりをつけ、一人りぼんを読んでいた。
いつの間にか眠ってしまったのだろう。
気づいたら朝だった。
気持ちよく目覚めたのだが。。。
ばあちゃんのお布団におねしょをしてしまったのは本当にバツが悪かった。
大家族で本当に本当に色んな問題もあったけど、あの大らかさの中でのびのび育ったことは何物にも代えがたい。
逃げ場があったこと、家族のなかの誰かが受け止めてくれたこと、そこに確かな温かさがあったこと。
思い出すと懐かしくて、気恥ずかしくて、あったかくて、もう戻れないと思うと胸がキュンとなる。
そんな眠れない夜の記憶。
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