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性病の疑いがあったので、人生初のHIV検査にいってきました

今から新宿で「HIV検査」の診断結果を聞く。不安だ。20分ほど前から心臓の拍動がいつもより大きく聞こえる。もしAIDSだったら?1週間前に検査を受けてから色々調べた。HIVはもはや死の病気ではなく、出産もできるしセックスもできる(※1)。結果がどちらにしろ安心したつもりだったけど、検査結果、聞くの。怖い。もし、そうだったら作品制作に生かすか?もしそうだったら自分の境遇をなんとか+に生かしたい。思考が止まらない。自分は色々なものを蔑んでいるのではないか……?......

数年前に友人たちと夜に気持ちよく飲んでいた。他愛もない下ネタの話は性病の話に接続された。「なんだかんだみんなセックスしてるんだから、検査くらい受けといた方が安心だよねー」なんて会話をした。まさにその通りだと思っていたし、自分は、あたかも、自分は当たり前のように毎年性病検査を受けている教養人ですよ。みたいな顔をしてた。けど、検査にはいったことがなかった。

事実を知るのは怖い......?

調べたことすらなかった。怖かった......。HIVは死ぬと思っていたからかもしれない。もし、万が一そうだったら?知らないと怖い。もしそうなら知らない方がいい?そんな風にして、こんな思考の持ち主であれば検査を受けない自分を正当化できる。他者からも「重要性はわかっているが、一歩を踏み出せないこと」への共感・理解を得られると考えていた。バカか。いらん戦略だ。問題の特定を先延ばしにして、それっぽいことを言ってる自分に酔ってるだけじゃないか。

今日12月1日は 「 #世界エイズデー 」だ。冒頭に書いた「今から新宿で〜」はおとといのこと。そのときのmemoである。検査結果を聞いて、2日経ちずいぶん落ち着いたので、この投稿を書いている。

検査受けたことありますか?

皆さんは、HIV検査や性病に関する検査を受けたことがありますか。ぼくは10日前までNoでした。そして、いざ受けてみて、「まじでみんな受けてくれ。Facebookの友人には受けてほしい!!」と思った。今年直接会う友人には直接HIV検査の必要性を説明したいくらいには、検査を受けてよかったと思っている。この頃TwitterでHIVのことを呟いていたら、3人もの友人が検査を受けてくれることになった(!)


HIV検査を受けるきっかけ

今回ぼくが検査を受けることになったのは、きっかけがある。小さなきっかけ。だから、ぼくも誰かのきっかけになれたらと思う。そしてなにより、もしエイズだとしても、死ぬ病気ではない(※1)ということをまず伝えておく。ぼくの文章は長いから、「こんなの読んでる暇ないよ!」という人は、すぐさま投稿を閉じて「HIV検査相談マップ」(※2)とかで検索してもらえたら嬉しい。

ぼくが今回検査を受けることになったのは、眼科医からの一言。3週間ほど前に、突然、右目が猛烈に真っ赤になった。写真(※5)をやっていることもあり目は一生ものだと考えているので、眼科に行った。今ははやり目というアデノウイルスによって感染する流行性角結膜炎かもしれないですねと言われ、目薬を処方された。1週間後、経過観察のためににもう一度眼科に行った。目はまだよくなっておらず、眼科医が「もしかしたら」というのでちょっとした検査をした。そしたら「クラミジア結膜炎ですね」と言われた。

クラミジアという病気について

小中の頃にまじめに保健の授業を受けていた人は知っている単語「クラミジア」(ぼくは保健のテストはいつも満点だった)。これは性病の一種であり、「女性の性感染症では最も多い病気で、特に若い世代に感染者が多いことが問題とされています。」「無症状であることが多いため、感染の自覚が難しく、感染の拡大や放置の危険性があります。」というわけで、ぼくは結膜炎にならなければクラミジアに感染していることに気がつかなかった。

そしてこの病気について調べてみると「将来の不妊の可能性がある」と書かれており、自分だけでなく、自分の大切な人に迷惑がかかるかもしれないと考えた。

いよいよ人生初のHIV検査へ

また、今回自分がクラミジアに感染していることがわかり、もしかしたら他にも性病を持っているかもしれない?と思った。以前、友人と飲みながら「性病検査を受けたほうがいいよね。」なんて話をしてから数年が経った。この機会に、ちゃんと検査を受けてみようと思った。

おそるおそるインターネットで「性病検査」などと調べると「保健所」で匿名・無料で診断してくれることがわかった。病院やクリニックだと5000~10000円ほど費用がかかるようだったので、近場で無料で診断してくれるところを探した。ぼくは新宿駅から徒歩数分のところ(※3)で検査を受けることにした。

検査の流れ

TwitterでHIV検査について投稿していたら、友人から「こわくない?行ってみようと思うんだけど」とメッセージが来たので、どんな感じだったか、簡単に説明したいと思う。


(1)まず予約について。
Websiteもしくは電話で予約ができる。ぼくは電話予約をした。匿名なので何か個人情報を相手に伝えることはない。後日、検査日の前日までに採尿のためのキットを新宿までもらいに行った。

(2)次に検査当日
採尿したのをもって検査会場へ。待合室でまつこと10分くらい、部屋に呼ばれる。検査の説明を受け、採尿したのを渡して、採血。その日はこれで終了。

※ちなみに採尿は「クラミジア・淋菌」の検査のために必要で、HIV検査だけだったら新宿では採尿はしないそうです。

(3)いよいよ診断結果
検査結果がでるのは1週間後らしく、日をおきまた新宿に行った。検査日当日がおととい。待合室で待つこと1分。部屋に呼ばれて、お医者さんらしき人が結果を伝えてくれる。その後、別室に移動し、性病の治療・予防・その他の相談ができる。ぼくが新宿の検査場で会った人は皆親切だった。最後にちょっとしたアンケートを記入して、検査終了!

検査結果を聞くために、全部で3回新宿の検査会場に行く必要がありました。 1回目は採尿、2回目は検査(採血)、3回目は診断結果を聞くために。ちなみに採尿は「クラミジア・淋菌」の検査のために必要で、HIV検査だけだったら新宿では採尿はしません。なので、検査会場に行くのは2回だけ。

わたしの検査結果

ぼくは今回の検査では、HIVは陰性だった。しかし、クラミジアを持っているので、治療をする必要がある。これは1~2ヶ月で完治する病気。しかし、クラミジアを放置しているとHIVの感染率が3~5倍にもなると言われている(※4)ので、早く直す必要がある。そして、自分が持っているということは自分だけの問題ではない。

パートナーに検査結果を伝える

ぼくが感染しているということは、パートナーにも感染している可能性が非常に高いので、パートナーに話をする必要がある。ぼくは検査日の夜にパートナーと外食をして、帰りに相手に伝えることにした。伝えるのはめちゃくちゃ緊張したので、伝える前に「悪い話と、いい話があるんだけど。どっちから聞きたい?」と聞いた。「悪い方から」と返答があったので、クラミジアに感染していること、クラミジアという病気について、相手にも感染している可能性が高いので検査にいってほしいこと、などを伝えた。


相手の反応は色々と考えていたけれど、伝えた時に相手は「まじ?笑」と笑ってくれた。そしてそのあといくつか質問をしてくれて、すぐに検査の予約をしてくれた。めちゃくちゃありがたかったです。そのあといい話として2つの話をした。1つはぼくが無くした財布が見つかったこと(警察に届いていました!)。もう1つは相手が読みたいと言っていた詩集を持って来たこと。

性について話し合うこと

これまでパートナーとセックスをすることはあれど、真面目な雰囲気で性について話すことはなかった。なので、今回こういったきっかけではあれどそういった話をしたり、また、お互いに人生で初めての性病の検査を受けることに繋がって良かった。結果を知ることは怖いけれど、「もしかしたら?」という思いをずっと抱えたままいるのも、ぼくはしんどい。

そして、今回検査を受けるにあたって、色々と調べたのが良かった。HIVはありふれた病気だけど、他人事だと思っていた。今回は陰性だったけれども、他の性病は陽性だった。早く気がつくことができて本当に良かった(!)。検査を受けたり色々調べるうちに自分が間違った性知識を持ってたり、エイズは死の病気ではないと知れたり、パートナーと性のことで真面目に話せたりetc諸々良かった。皆さんも検査ぜひ!無料・匿名で受けれます!

参考にしたサイトなど

以下に、ぼくが今回検査を受けるに当たって、参考にしたサイトや、読み物へのリンクを載せています。よければご覧になってください。

※1 「「エイズ=死の病」は終わった。HIV感染でも治療でセックスや出産が可能。それでも偏見・差別根強く、専門家は憂う」HUFFPOST


※2「HIV検査相談マップ」
HIV,梅毒などの無料検診が匿名でできる全国の場所がまとまってる!便利!

https://hivkensa.com/mb/

※3「南新宿検査・相談室」

http://www2.tmsks.jp/mobile/index.html 

新宿駅から徒歩3分くらい、近いです
採血と採尿で検査してもらえます

※4「クラミジアは自然治癒するの?」


※5「新造が撮っている写真など」


ぼくのwebsiteです。撮影以外にも色々できます。ここには載せてませんが、商品撮影、ポートレート撮影、LIVE・イベント撮影などの仕事もしています。お仕事の依頼、お願いします。

※6 SH外来

ゲイ・バイセクシュアル男性を対象に性感染症の検査と治療を行う研究ベースの専門外来。

「この外来では、最もHIV感染の可能性が高いと考えられている肛門の性感染症とHIV感染の関連を明らかにするために、定期的に(概ね3ヶ月毎)HIV、梅毒、肝炎、肛門・咽頭の淋菌とクラミジア感染症の検査、年に1回のヒト・パピローマウイルス感染症と細胞診の検査を受けて下さる方を募集しています。特に肛門の性感染症検査は、現在保険適応になっておらず、無症状であることから見逃されている可能性がありますので、この機会を是非ご利用ください。」

おすすめの読み物、展示など

▼「感染症だとわかった日、僕は二番目の人生を歩み始めた」奥井裕斗 _ Soar

HIVについて調べていて、はじめてHIVの当事者の方のブログを発見した。検査結果を知る前に感じていた未来への怯えや、病気や当事者への偏見、が言語化されていた。そして、実際の筆者の現在の生活や周りとの関係性について描かれている貴重な記述。

「自分を否定していたのは、他でもない自分自身だった」
「HIVを持つ自分の平凡な幸せを伝えたい」

このnoteは、HIV、LGBTQ、マイノリティーといったことに関心・関係がある人だけの話ではなく、もっと大きくて普遍的なテーマについて言及されている。

▼「婦人科に行くのは恥ずかしいことですか?」中川えりな _ She is

セックスっていう行為が生活や人生の中でどういう立ち位置にあるかが、筆者の一人称によって書かれている。書き方が口語体でとても読みやすく、読み物としても面白い。ぼくは超超好きな人とも、超超好きっていうわけでもない人ともセックスをする。だけど、誰とでも、とか、生でしたいとは思わないし、いつもセックスをする時にはその先にある「責任」の可能性について考える。しかし、ぼくは考えているだけで、ちっとも、責任を果たそうとなんてしてないんじゃないか?と、自分で自分を鈍器で殴ってやりたい。読みながら心の中で「男として生まれて来た自分」と「男としての自分のだらしない性欲」に対して、後ろめたさと恥ずかしさを感じた......。

性別関係なく読んでほしいし、ぼくは年に一度は性病の検査に行こうと決めました。

▼「ダムタイプ|アクション+リフレクション」

会期:2019年11月16日(土)-2020年2月16日(日)

日本を代表するメディアアーティストグループ、ダムタイプによる個展@東京都現代美術館。1984 年に京都で結成以来、集団による共同制作の可能性を探る独自の活動を続ける。美術、演劇、ダンスといった既成のジャンルにとらわれない、あらゆる表現の形態を横断するその活動は、プロジェクト毎に作品制作に参加するメンバーが変化するなど、ゆるやかなコラボレーションによって、現代社会における様々な問題への言及を孕む作品を制作。

1995 年にグループの中心的存在だった古橋悌二がAIDSによる感染症のため急逝するまで、初期ダムタイプを代表するパフォーマンス作品《Pleasure Life》(1988)、《pH》(1990-1995)、《S/N》(1994-1996)は世界中で上演され、古橋の死後もダムタイプは高谷史郎のディレクションのもと、《OR》 (1997-1999)、《memorandum》 (1999-2003) 、《Voyage》 (2002-2009) といった作品群を、従来通り参加メンバーによる共同制作で創作活動し続けてきた。

ダムタイプは、数年前に、S/Nの記録映像を見てから、ずっと脳裏に焼き付いてます。オマージュで何度か作品を作ったこともあるし、仲良くなった人になんども彼らの話を、映像を見せてきた。話が合う人がいれば、一緒に展示に行きたい。

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