見出し画像

ばあちゃんがくれるビニール袋はいつでもベトベトしてる

地域づくりの仕事や被災地支援を始めて大きく変わったことがある。
それは高齢者と関わることが格段に増えたことだ。


高齢者は当たり前のことだけど、人生経験が豊富なこともあってかなり物知り。
話せば話すほど、彼らが貴重な存在だと言うことに気がつかされる。


僕は小さな頃から自分の祖父母に対してあまり畏敬の念を感じたことが無かった。(好きではあるでw)

しかし、ここ最近自分の祖父母に対し「もっと知ってみたい。」と言う気持ちが芽生え始めた。

そして、この三連休は絶好の機会で僕は母方の祖父母の家へお邪魔することに決めた。
りんごジュースと柔らかいクッキーを土産にドアをノックする。
しばらくして、中から満面の笑みを浮かべたばあちゃんが出てきた。
「健太ちゃん良く来たね。」


久々に会ったばあちゃんの年齢は気がつけば85歳になっていた。
先祖を祀っているらしい仏壇に挨拶をして、リュックから僕が一昨年から掲載された新聞記事を渡して、近況報告をした。
たくさんの被災者と関わったこと。最近は大学で授業をさせていただいたこと。

少し驚いた顔をしていたが、棚から一冊のファイルを渡してきた。
「健太ちゃん。おばあちゃん知ってるよ。」

ばぁちゃんが手渡してきたファイルには、僕のことが書かれた新聞記事がしっかりファイリングされていた。
(アナウンスしたことなんて無かったのに…。)


話を聞くとじぃちゃんと二人で新聞記事の中を毎日探していて、見つけては切って貼り付けて保存してたんだと。

「僕のことが大好きなんやから〜。」
冗談でごまかしたが、何とも言えない温かい気持ちになった。

その後、3人で楽しい時間を過ごした。
じぃさんは3月で93歳になることもあって、若干の認知症が入っていて何度も同じ話をする。

ばぁさんがすかさず「その話さっきもしたよ!」
とツッコミを入れるが、そのツッコミが93歳じぃさんの耳には聞こえない。
そんな二人を見てると僕もつい笑ってしまう。

でも少し認知の入った可愛いじぃさんも2〜3回に一度、今まで聞いたことのないエピソードトークを披露してくれる。
僕はそれが楽しみで根気強く粘る。


※前回遊びに来た時は、「俺は18歳の時に初めて日本に来たんだ。」
と言う衝撃のエピソードを聞いた。
「え⁉︎僕もしかしてクォーターなの?」と期待したけど、じぃさんは親父の仕事の関係で、中国で生まれ育った純日本人だった。
(この話を理解するまで何巡もしやがるもんだからかなりの時間を要した。笑)


3時間ほど滞在をした後帰宅しようと席を立つと、ばぁちゃんが大量の土産を渡してきた。
「いらんいらんw」と、
どれだけ言っても、ばぁさんの食べ物を入れる手と
「もっと入れてあげろ!」と言うじぃさんの小言は止まらない。

戦前生まれのじぃさんばぁさんにとって、食べ物をいただくことはこの上ない幸せなことだ。
しかしながら、どんな時でも食べることに苦労しない環境で育った平成生まれの僕にとっては正直いらない。


そして、かなり気の効くばぁちゃんはそれら全てを一つの袋にまとめてくれる。

土産を受け取り玄関を出るんだけど、じぃちゃんとばぁちゃんはどこまでもついてくる。
ばぁちゃんの瞳はいつもの通り涙で濡れている。
やっぱ寂しいんだろうなぁ。
たまには顔を見せんとな。

車のハンドルを握る手が気持ち悪い。

「どうして、ばぁちゃんのくれる土産の入った袋っていつもベタベタしてんだろ。」

いつ、どんな時でも自分を必要としてくれる人がいるってのは幸せなことだ。
皆さんも高齢者と関わる機会は何としても作っておきましょう。

戦争の話なんてあっという間に聞けなくなるよー!

サポートはコーヒー代にします( ^ω^ )