【消滅都市】タロット&キャラクター考察 ベオの正体*伝令の神ヘルメス説【世界】
「結局ベオは何者だったの・・・?」
消滅都市をプレイした方なら
一度はそう思ったことがないでしょうか?
ゲームマスターが創造したタロットカードを使い、消滅都市の世界に住む人々、観測者(プレイヤー)を巻き込み物語を掻き乱した謎の少年ベオ
『審判』以外の大アルカナ21枚タロットカードを拾ったベオは、
適性のある人物にタロットを渡して人の運命を変える
並行世界を見つける(作る)など
消滅都市の世界にカオスを生み出しました。
今回はそんなベオについて、西洋占星術、錬金術、神話の観点からベオの正体を解明していきたいと思います。
⚠️注意
この記事に関する内容は公式情報ではありません。消滅都市の世界観が好きな1ファンによる憶測と考察に過ぎません。オカルトの側面から語る盲目的な視点でよければご参考ください。
①ベオもゲーム上の1キャラに過ぎない
メタ的要素が含まれている消滅都市では
『観測者』と呼ばれる存在が重要なキーワードでした。
消滅都市が在る世界から見えない存在を表すため第四の壁(※1)と比喩するシーンもあります。
1-1*観測者とは何か?
ゲームでは一括りにされていますが、観測者はゲーム内部と外部どちらにも存在していると考えています。
この用語は特にプレイヤーを意識させる演出が多く見受けられましたが、おそらく『観測者』は単一のものを指す用語ではありません。
それはベオも例外ではなく、ベオも観測者のひとりなのです。
1-2*ベオの名前
ベオの正式名称は"Beobachter"
ドイツ語で「観察者(観測者)」を意味する言葉だそうです。
言葉の意味だけ見ると我々プレイヤーと同じ立ち位置、または同等の存在でないかと勘ぐってしまいます。
いたずら心が垣間見えたり、意地悪な側面が強かったベオをプレイヤーの負の部分が具現化したキャラだとする見方もあるかもしれません。
もしくは、消滅都市の物語に混乱を招きカオスを生み出そうとした運営(WFS)が擬人化された似姿だと考える方もいらっしゃるでしょうか?
ところが、ベオはプレイヤーの側面ではなく、運営の擬人化でもない、ゲームに登場するただの1キャラクターではないかと。
少なくとも私はそう捉えています。
「はあ?何言っているんだよ」
この記事を読む方のなかには、そんな声もあるかもしれません。
なぜ、私がただのキャラクターと考えるまでに至った理由か?ある仮説について順を追って説明します。
②ユング心理学の元型『トリックスター』
みなさんはトリックスター(※2)という用語をご存知でしょうか?
心理学者C.G.ユングが提唱した
分析心理学の元型(アーキタイプ)のひとつです。
物語を引っ掻き回す運営の擬人化?
物語の盛り上げ役?
我々プレイヤーと似た特徴を持った観測者?
もしかすると、すべての側面に該当するキャラクターとして用意されたのかもしれません。
トリックスターは民間伝承や神話のなかで、いたずら者として登場します。言わば、既存の秩序を破壊して世界を混乱させる物語の進行役を担う存在です。
普段からのベオの言動や悪ふざけな行動を振り返るとトリックスターの特徴を持っていた人物であった可能性もあります。
では、多数の並行世界を見つけ出し、自身も『世界』のタロットカードを手にしてプレイヤー同士でスコアを競い合う『ランキングシステム』まで干渉したルール破りなベオは、一体どのような力があったのでしょうか?
③ベオにはどんな力があったのか?
ベオは観測者のなかでも特殊な存在でした。
第四の壁を認識することが出来る
私たちプレイヤーを知覚することが出来る
様々な並行世界を見つけたり介入することができる
これは、プレイヤー(観測者)よりもウチュウやメシエと同じような特性を持った高次の存在(観測者)に近いように思えます。
また、世界線を跨ぐ移動の能力はベオの所持する『世界』のタロットカードがもたらしていたのでしょう。
それらのタロットを介した力とは別に、私はベオの資質についてもう一つの可能性を見出しています。
それはギリシア神話に登場する"ある神"を例に挙げると、ベオの気まぐれさや世界のルールや秩序を乱すトリッキーな性格を知ることができます。
ただ、ベオの正体に心当たりがあっても「これが正解だ」とは言えません。あくまで個人的な考察であり、ひとつの仮説として続きをお読みください。
④ベオ=ギリシア神話のヘルメス神?
ベオの初期登場シーンのセリフやPVは失念してしまいましたが、当初の登場時にはイラストや立ち姿がありませんでした。
また「見守ってあげるよ、僕が飽きるまで」に近い内容の会話を見かけたことがありますので、普段の言動が乱暴なものの人間の旅をサポートする存在でもあったのでしょう。
では、そんな役割を担う存在が果たしているのでしょうか?
これは一つの仮説ですが、ギリシア神話に心当たりのある神がいます。
商業の神、知恵の神、旅人の神、俊足の神、強奪の神、詐欺の神、境界の神など呼ばれる
伝令・使者の神ヘルメスです。
ベオのプロフィールを見る限り彼も天上の世界の住人のひとりだとするなら、メシエやブリキ、所長のように、人間とは異なる高次元の存在と捉えることもできます。
ヘルメスと似た特徴はベオの服装にもあらわれていますのでお確かめください。
胸のブローチ(カドゥケウスの杖、メルクリウスの杖、もしくはヘルメスの杖)
ベルトの飾り(翼の生えたモチーフ)
帽子とブーツ(ヘルメスの特徴)
ヘルメスとは?
Wikipediaによると
ギリシア神話のヘルメス神にはこのような説明がありました。
見た目は翼の生えた帽子と靴、2匹の蛇が絡まった杖を持った青年で描かれることが多く、素早く移動して、時にはズル賢い性格など特徴は多岐に渡ります。
ヘルメス(※3)とベオ
2人の名前を並べてみても何も共通点がないので、見当違いに見えるかもしれません。
しかし、ヘルメスの情報・伝令・移動・泥棒などの数々の多面的な性格を調べていくと、消滅都市の世界を移動したり、いたずらっぽい性格、タロットカードに適した人物を見抜く洞察力または観察力にヘルメス的な資質を感じざるを得ません。
※3ギリシア神話のヘルメスはローマ神話のメルクリウス(マーキュリー)と同一視され、惑星の水星(Mercury)に由来します。
こうしたギリシア神話にもとづくヘルメス的性質が、ベオの本来の特徴であった可能性もあります。
4-1*ベオは敵なのか、味方なのか?
ヘルメス神はいたずら好き、ズル賢い、やんちゃなイメージが付きものです。
私も初めてギリシア神話や占星術を学んだ際、水星を司るメルクリウス(ギリシア神話ではヘルメス)は木星を司るユピテル(ギリシア神話ではゼウス)に伝令する『チクリ魔』と聞きました。
(個人的な学習&感想によるものです)
なので、今まであまり良いイメージを持てませんでしたが、ある本に出会ってからヘルメスの印象が大きく変わりました。
察しの良い方なら、叙事詩『イリアス』とギリシア神話の関係性からトラオムとベオの繋がりを想像するかもしれないですね。
ヘルメスは人間の運命を連れ添い、旅人を守護する神でもあり、最も困難な状況において人間の味方となることもあるのです。
そういった見方が許されるなら、ベオに人間のような善悪で区別するものはなく、
善と悪
白と黒
破壊と再生など
異なる二面性を併せ持った存在として、ただ物語を盛り上げるために世界や人間に干渉していたのかもしれません。
なので、天上の世界の住人として誰よりも人間に干渉し、良くも悪くも人間をサポートしていたベオに関して・・・
敵でも味方でもなく、その時の状況に応じて最善を尽くしていただけではないでしょうか。
それは、ベオの原型と考えているギリシア神話の神々のなかで誰よりも人間のことが好きな神ヘルメスからも読み取ることができるのです。
⑤ベオは死んだのか?
タロットゲームと称したタロット所有者たちの戦いに敗れたベオは、タロットの力の代償としてライオンの姿に変化しました。
5-1*タロットの力の代償は何だったのか?
ウェイト=スミス版タロットを考案したアーサー・E・ウェイト本人の解説本『The Poctorial Key to the Tarot』をよると、『世界』は宇宙の完成、神を理解する喜びをあらわしています。
それと同時にタロット占いの意味を当てはめること自体が見当違いだとも述べています。
私が好んで読んでいるタロット本にこの話に通じる解釈が載っていたので参考例として引用します。
これらを複合してみると、ベオも世界のタロットの力を使って代償(デメリット)を誤魔化していただけ。
自分がどのような代償を払うのか、その(消滅の)瞬間が訪れるまで分からなかったのだと推測しています。
ベオは死んだのか?
本人も「死にたくない」と言いながら消滅した彼がどうなったのか定かではありません。タロットの代償によって、ライオンの姿になった中身がベオ本人であるかもはっきりとは分かりません。
しかし、もし天上の世界の住人=神々のひとりであるならば、ベオの姿が消えただけで『概念』としては残りつづけているのではないでしょうか?
その概念として残った形がライオン🦁だったのかもしれません。
⑥おわりに
いかがでしたでしょうか。
世界線分割を企み、最後まで物語を引っ掻き回した存在だったのでベオを好きになれなかった方もいると思います。
しかし、角度を変えて見るとベオも『トリックスター(元型)』の役割を担っていたキャラクターであって、善悪で判断して行動したわけではないのです。
ゲームの物語を退屈に感じていたウチュウや観測者たちに、少しちょっかいをかけただけかもしれません。
そんな風に考えるとベオもいたずらっ子の可愛い少年に見えてきませんか?
ベオがヘルメス的特徴を持った存在だったとしたら、神話と同じく彼は人間のことが、そして世界のことが誰よりも好きだったのでしょう。
周囲を振り回しているように見えたり
世界を巻き込んでカオスな状況を作ったとしても
それがベオなりの愛のあらわれであったのだと、少なくとも私はそう思っています。
今はそのベオの役目も果たされ消滅してしまいましたが・・・
■昼と夜、世界と反世界、宇宙と裏宇宙
現代社会においてヘルメス的な文化や思考は闇に身を潜め、私たちには見えない存在となってしまいました。
言うなれば
昼は理解の世界
夜は認識の世界
認識の世界に潜んでいるヘルメスを見つけるには、暗闇を一点に集中して洞察するための眼が必要です。
もしあなたが闇に飲まれたとき、きっと人間に知恵を授け、運命を変える力をもたらす存在を認識する瞬間が訪れるはず。
ベオのような世界に触れたときは、導きと指し示す道を信じてみてください
(それには目的と行動が伴うことをお忘れなく⚙)
2019年の年末から2020年の元旦にかけて、当時ベオをランカーから落とそうとリアルタイムでランキングに参加できたことは良い思い出になりました。
消滅都市の世界が好きな1ファンとして、密かにベオ=ヘルメス説を推しています。
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