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「タミフル」の評価が現在どうなっているか知っていますか?


薬に対する評価というものは、逐次変わっていくものです。
かつて日本において大量備蓄が行われた「タミフル」の最新情報を見ていきましょう。なお、この内容は出典を抜粋したものであり、情報が偏っている場合があるため、全文を確認することを推奨します。


出典:オセルタミビル - Wikipedia 

オセルタミビル(oseltamivir)は、インフルエンザ治療薬である。オセルタミビルリン酸塩として、スイスのロシュ社により商品名「タミフル」(tamiflu)で販売されている。
A型、B型のインフルエンザウイルスに作用する(B型には効きにくい傾向がある)。C型インフルエンザには効果がない。鳥インフルエンザを引き起こすのは、A型インフルエンザウイルスであり、H5N1型の高病原性トリインフルエンザウイルスにも、ある程度有効との研究結果が報告されている。
2014年には、コクラン共同計画による完全な治験データの再分析結果が公開され、当初の服用の理由である入院や合併症を減少させるという十分な証拠はなく、成人では発症時間を7日から6.3日へと減少させる程度であり、副作用も含めて、使用指針の見直しが必要であると報告された。

効果は、「入院や合併症を減少させる」から「成人では発症時間を7日から6.3日へと減少させる程度」に変わりつつあります。


では、続きを見ていきましょう。

オセルタミビルは,ウイルスが宿主細胞から別の細胞へと感染を広げる際に必要となるノイラミニダーゼ (neuraminidase, NA) という酵素(糖タンパク質)を阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。 感染し細胞内で増殖したウイルス粒子は、細胞から放出される際にノイラミニダーゼによって遊離し感染を広げるが、ノイラミニダーゼ阻害薬によってウイルス粒子の遊離ができず新たな感染が抑えられる。 これがノイラミニダーゼ阻害薬の作用機序である。

オセルタミビルは、ノイラミニダーゼ阻害薬と言います。


次に副作用です。

タミフルのみにおける低体温や異常行動につながる急性に生じる反応には、モノアミン酸化酵素阻害作用、GABA(中枢神経抑制)やニコチン性アセチルコリン受容体への作用への機序が、動物研究から想定される。 また、ノイラミニターゼ阻害作用によってゆっくり生じる反応は、ウイルスを減少させずに症状を減少させており、抗体の産生を低下させ、また再感染に対する免疫の発生を減少させて再感染しやすくなる可能性があり、心臓に良くない影響が考えられるQT延長、様々な器官に及び、また最初の服用から数日後に服用した際の発症という遅い精神症状も報告されている。

QT延長症候群(LQTS)は、心電図上のQT時間延長とT波の形態変化を特徴とし、ときにTorsade de Pointes(TdP)と称されるQRSの極性と振幅が心拍ごとに刻々と変化する多形性心室頻拍を認め、失神や心臓突然死の原因となる症候群です。

2005年に日本で、突然死や異常行動が報告された。11月17日、アメリカ食品医薬品局 (FDA) は、インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した日本の小児患者12人が死亡したと公表した。4人が突然死、4人が心肺停止でそれぞれ死亡、意識障害、肺炎、窒息、急性膵炎(すいえん)により4人が死亡。他国の死亡例はない。また、皮膚超過敏症が12件、幻覚、異常行動などの精神神経病的な症状が32件、世界で報告されたが、ほとんどが日本であった。
2007年9月29日、セントルイス・ワシントン大学精神医学教授の和泉幸俊らは、オセルタミビルおよびその代謝産物を、若いラットより摘出した脳細胞に浸すと、神経細胞が一斉に興奮(発火)することを報告した。実際の組織内濃度をはるかに超えた状態で行われた実験のため、これが臨床的意味を持つものかどうかは未確定である。
2008年に東京大学のグループが、ラットの海馬をもちいた研究で、平時はばらついて興奮しているニューロンが、オセルタミビルを与えると回路全体が同期的に興奮する特異な発火現象とこれが本剤に限らず他のノイラミニダーゼ阻害薬でも起こることや、実験動物では血液脳関門をオセルタミビルの薬効物質が移行することなど報告している。

日本では、副作用によって死者が出たほか、幻覚、異常行動などの精神神経病的な症状が目立ちましたまた、再感染しやすくなる可能性や心臓に良くない影響が考えられるQT延長も報告されました。

動物実験では、薬の成分が血液脳関門(脳への異物侵入を防ぐバリア)を突破し、脳の神経細胞が一斉に興奮(発火)することが報告されました。


次に経緯を見ていきます。

2005年11月に FDA の小児諮問委員会で報告された際には、「タミフル」の全世界での使用量のうち、およそ75%を日本での使用が占めており、世界で最も多く使用されている上、同2位のアメリカ合衆国と比べ、子供への使用量は約13倍であった2005年には、新型インフルエンザの発生懸念のため、一部の大病院などで買い占めがおこり、世界的に品薄状態と報じられた。
2009年までには、インフルエンザのパンデミックへの恐れが絶頂期となり、堅牢な科学的証拠のないまま、世界保健機関から勧告がなされ、各国はタミフルを大量に備蓄することへとつながった。2009年に世界保健機関が実施したシステマティックレビューでは、死亡率や入院を減少させる可能性があるとしたが、集まった証拠の質は低かったため、一般化できるものではなく複数のバイアスがあった。

このように堅牢な科学的証拠のないまま、世界保健機関から勧告がなされていました。



薬剤耐性についても確認しておきましょう。

オセルタミビルに対して薬剤耐性を持ったH3N2の変異株が、「タミフル」によって治療を受けた日本の子供たち50グループ中から18%の割合で検出されたことが報告された。これは、日本の子供たちから薬剤耐性をもったH1N1の変異株が16.3%の割合で見つかったという別の報告と類似している。
さらに、「タミフル」によって治療を受けていたベトナムの少女1人から、高い薬剤耐性を示すH5N1が検出された。
薬剤耐性はパンデミックが起こるための重要な要素である。トリインフルエンザは持続期間が長いため、より耐性を獲得しやすくなっている可能性がある。このような耐性ウイルスが大流行を起こすことが危険視されている。

薬剤耐性を持ったウイルスは、新たなパンデミックを起こす可能性があります。


まとめ

薬は、効果と副作用を正しく理解した上で使用する必要があります。
「タミフル」の効果と副作用を知って、使用したいと思う人はほとんどいないと思うのですが、多くの日本人は、何も調べずになんとなく薬を使用してしまうのです。

医学誌BMJとコクランは、「タミフル」に対して未公開の臨床試験データの検証により服用による効果は限定的であり、世界の政府機関は証拠が改定されたことによる見直しが必要との声明を出しました。
完全なデータ公開によって、ロシュの見解は訂正されることとなりましたが、このような事例の再発を防ぐには、医薬品規制庁と製薬会社は、データをパブリックドメインに置き、情報共有する必要があると締めくくっています。

現在、またしても同じことが繰り返されようとしています。
薬には特許、寄付金、キックバック、天下りなども絡んでいます。
新しい薬にはデータがほとんどなく、集まった証拠は質が低い場合もあり、判断は難しいのであります。



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