発音は大事か?
昨日は、「文法は大事か」について、日頃考えていることを書いてみました。
今日は同じくよく話題になる「発音」についてです。ネイティブのような発音になる必要があるか、日本人英語でもいいんじゃないか についてです。
こちらも、昨日と同じく、「相手が理解するのに負担をかけないように」というのが私の考え方です。
つまり、日本人的な発音でも大丈夫なところと、気をつけなきゃいけないところがある、と思っています。
ニンゲンが作り出す音は同じハズ。だけれど・・・
どの国の人も同じニンゲン。作り出せる音には限りがあります。ですが、言語によってその中のどれを使っているか、どれとどれを区別しているかは違います。
日本人が不得意な英語の音といえば、RとLの使い分けが有名でしょう。ここから少し例を出してお話してみます。
大した差じゃない?
同じ母語を持つ同士であれば、「あぁ、たぶんあれね」と想像がつく発音の揺れも、相手にとっては大きな違いであることもあるわけです。
「似てるじゃ~ん。これくらいわかってよー。」というのは酷というもの。
日本語を例に感じてみよう!
日本人ならば「きって」「きて」「きいて」の差は、すぐに聞き分けられるでしょう。
スローモーションのビデオの真似をして、すごく間延びした音で発音してもわかると思います。
これが、英語話者には聞き分けが難しいんです。
英語の例で考えてみましょう!
①15と50
よくある、13と30、14と40、15と50… の違い。あえてカタカナで書くと、フィフティーンとフィフティ。
待ち合わせ時間や、値段など、これらの数字は聞き間違えると困りますよね。
これを、「長くのばせば15。早く切り上げたら50。」と考える方はいませんか?
日本人にとって、拍は大事なもの。能登とノートは違いますよね。だから、長く伸ばすかどうかで判別できると思ってしまいます。
でも、英語は長く伸ばすかどうかはあまり関係がないようです。
ここでは、フィフティーンの最後の「ン」の音が聞こえるかがキーではないかと私は考えています。最後に「ン」で終わるというのは、nの音のための口になっていることが大事ですね。
②complimentとcomplain 似ている?単語
complimentは「ほめる」の意味で 「コ」ンプリメンt
complainは「不満を言う」の意味で コンプ「レ」イン
※あえてカタカナ書きです。お許しを。「」のところがアクセントです。
実は、私がよく間違えていた単語です。(/ω\)
「ほらー、似てるんだから、わかってよ~!」というのは私の勝手な感想で、英語話者にとってみれば二つはイメージも響きも全く異なる単語なことでしょう。
③walk と work
こちらは、多くの方が逆に発音されている単語です。
walkは「歩く」の意味で 「ウォー」ク
workは「働く」の意味で 「ワー」ク
それが何故か、たぶん文字の影響かで
×walk ワーク
×work ウォーク
と発音される方がとっても多いです。
意味が違ってしまうと話が通じなくなってしまいますよね。
因みに、 walk は ウォーキング、〇〇ウォーカー(雑誌名)
work は 在宅ワーク、ハローワーク
などの既に日本語になっている言葉から連想して覚えられてはいかがでしょうか?
もう一度、日本語を例にとってみましょう
実は、私たちは特に使い分けていないのに、英語話者にとっては別の音だから混乱しているものがいくつかあるんです。
①RとLのこと
日本語の「らりるれろ」は、基本的に La Li Lu Le Lo ですが、人によってはやや Ra Ri Ru Re Ro 風に発音している方もいます。でも、どちらも同じく「らりるれろ」と認識されます。
ー ある方から聞いたお話。アメリカ人とご結婚なさったリエコさんが、初めてご主人と親戚一同を引き合わせた時。親戚がそれぞれLiekoさん、Riekoさんと違う発音をしたので、アメリカ人のご主人は「一体どっちが本当なの?!」と混乱されたとか。(※お名前は一部変えています)
また、ローマ字の書き方のルールから、Lは使わないことから、Ryujiさんや Reoさんといった表記がされますが、音的にはLyujiさんでありLeoさんです。
これが、英語話者には混乱するようです。
②nとmとngの3通りの「ん」
多くの日本の方は、日本語は「表音文字」で、書かれている通りに読める便利な文字・言葉である、と思っておいでだと思います。ところが、文字は同じなのに、音には「許容される幅がある」ものがあります。
私たちは同じ言葉を発しているつもりでも、英語話者には違う単語に聞こえることがあるんです。
つぎのそれぞれの「ん」はどんな「ん」でしょう?
新橋 Shi m bashi
新聞紙 Shi m bu n shi
新学期 Shi ng a kki
こんな風に音を出していないでしょうか?これ、それぞれ、無理やり入れ替えても多分、日本人は最初の日本語が書けると思いますが、英語話者は混乱するでしょう。
その他の言語の例を見てみましょう
①韓国語
韓国語には、「ざじずぜぞ」と「じゃじじゅじぇじょ」の違いがありません。なので、とても日本語が堪能な韓国人歌手や俳優でも、「ありがとう
ごじゃいます」と発音するのを耳にすることはありませんか。
日本では ざじずぜぞ と じゃじゅじょ がしっかり使い分けられ、発音し分けられ、聞き分けられています。
が、韓国語母語話者の方には難しいのです。
②中国語
無気音と有気音という、普通に音を出すものと強く息を吐いて音を出すものとが使い分けられているそうです。
※検索してみると、決して息の強さの差ではないそうです。息を出すタイミング? 詳しくは中国語の解説サイトをご確認ください。<(_ _)>
日本語の文字では表現しきれないので難しいのですが、
(ッ)パ・ン! と
パン とでは違う言葉に聞こえるのだそうです。
ー 「先生、さっき先生が言った (ッ)パ・ン(←強く発音した) と、今のパンはどちらが正しいんですか?」と、生徒さんに聞かれた日本語教師の方がいるそうです。
結局、発音は大事か?について
長々といろいろな例を挙げてみましたが、自分が「これくらいの違いは、違いではないだろう」と思うのは日本語をベースにした考えですよ、ということです。
相手の言語には、相手の言語の特徴があるんです。
【英語には英語の特徴がある。】
それを踏まえて、許される範囲と、許されない(違う言葉として伝わってしまう)範囲は、理解して発音を向上させる方がいいです。そうでないと、伝わるものも伝わらなくなってしまう。
日本語にない音を練習しましょう
日本の方が苦手なthの発音。
でも、
mouth(口) を マウス と発音してしまったら、
mouse(ねずみ)と 言い分ける時、どうしましょう?
相手はそれぞれを別の単語として識別しているのです。
ということで、日本人英語学習者がよく間違う発音については、また別の機会にご紹介したいと思います!(いろいろ事例があるんですが、多くの方が同様の間違いをなさっています。)
私に関わる全ての人に元気と勇気を!
そしてその人の変化を有形無形で応援していきます!!!
お互いの言葉の特徴を知ることは、お互いへの気遣い。
言葉を学ぶこととは相手へよりそうこと♪楽しく知っていきましょう!
ちか (2024.1.8)
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