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防災を切り口に日常から地域の中の当事者を増やす仕掛けとは?-第11回だれ一人取り残さない防災研究会(ゲスト:株式会社HITOTOWA 鳥山あゆ美さん)

みなさんこんにちは。チャレコミ防災チームです。
今回は3月20に開催した第11回の勉強会の様子をお伝えしたいと思います。

ゲストのご紹介

今回ゲストにお越しいただいたHITOTOWAの鳥山あゆみさんは都市部の自治会含めた草の根の防災活動に取り組まれています。
安心して暮らせるまちづくりに関わりたいと考え、新卒で港区役所に入庁。
防災課に配属となり、地域の防災力の向上を目的とした防災士の育成支援、町会や高層住宅の防災活動支援などを行ってきました。その後、人と人との繋がりを作ることで安心して暮らせるまちづくりにより深く携わりたいという思いが強まり、HITOTOWA INC.へ入社。現在はさいたま新都心にある自治会の伴走や戸越銀座商店街の企画などを通じて、スポーツの力を活かした防災の啓発に加え、まちの方々のつながり作りに取り組んでいらっしゃいます。
自分が暮らしている街との接点が少ない方も多い都市部の防災について考えることは自分のまちのことを考える当事者を日常から増やすことにもつながります。
当日は地域の中に「当事者」を増やす仕掛けについてもうかがいました。

「しがらみ」でも「孤独」でもないちょうどよいつながり

みなさんは隣の家に住んでいる人の顔を知っていますか?
特に都市部では人の流動も激しく、代々引き継いだ土地に住んでいる、という人は多くありません。いっぽうでそうした長い時間を経て作られた関係性は「しがらみ」にもなり得ます。
HITOTOWAでは人々のつながりをつくることで都市や暮らしの課題解決をするための事業を行っています。
その中の一つのテーマが「防災・減災」です。
阪神淡路大震災ではある街では人命救助をした人の半分以上は「近所の人」というデータもあります。
しかし、共同通信の調査によると親しい友人がいない60歳以上の人の割合は日本が31.3%とほかの国に比べても高い水準にあります。

政府も望まない孤独孤立を防ぐための法案を閣議決定するなど、こうした人と人とのつながりは社会としても大きなテーマです。

特に、災害発生時には日常からの関係性が必要です。専門機関が到着したとしても、そこに住んでいる人がどのような状態で、どんな心配事があるのか。どんな暮らしをしているのかの日常生活を知っているのはその地域やマンションに住んでいる人たちが中心です。

しかし、日常から密な助け合いをすることをだれもが望んでいるわけではありませんし、時間的にも地域の行事にはなかなか関われない場合もあります。

そんな都市部の「ご近所づきあい」をアップデートしていくためにHITOTOWAでは様々な仕掛けに取り組まれていました。

楽しさと面白さからつながりをつくる

防災・減災と言われても、実際に災害を体験したことがない方はなかなかイメージを持つことができません。そして、それは危機感を持つことが難しい理由にもつながります。
そうした方々にも「楽しさ」という切り口から防災について考えてもらうための機会としてサッカーを通した防災推進活動『ディフェンス・アクション』に取り組まれています。

これはサッカーという楽しさを切り口にすることで防災に関心がない人たちも防災について考えるきっかけを提供しているそうです。

こうした楽しさという新し切り口から、まちの人たちが地域に関わるきっかけをつくり、そこに暮らす人が幸せに暮らせる仕組みをつくることがポイントとおっしゃっていました。

特に商店街やマンションコミュニティなどと連携してプログラムを実施する場合には必ず最後には自分たちはいなくなるので、そこに住む人の主体性が育まれる機会をつくることを意識しているとのこと。
そうした取り組みが社内で共有され、メソッドとして蓄積されることで様々なエリアで再現性の高いネイバーフットデザインを実現されているとのことでした。
鳥山さんご自身も文京区に暮らしていたご自身の問題意識から取り組みを始め、様々なエリアで一緒に活動する中で何よりも町に住む人の主体性を引き出すことを気を付けているとのこと。
そうした心がけやおもいが一つ一つ積み重なることで新しい取り組みに繋がっていくのだと感じました。


次回の研究会は6月19日に開催予定です。

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「だれ一人取り残さない」防災研究会とは…
①災害が起こったときには日常からのつながりが重要になる。そのために、日常から学びあい、つながりをつくること。
②研究会に参加するそれぞれの主体が自分たちの防災・災害支援に対しての実験を相談したり実際にやってみたりする機会にすること。
を目的に毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)に研究会を開催しています。

ご関心のある方は以下のフォームからお問合せください。


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