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顧客が買う気になった時に買ってもらうには

売上を伸ばすには

企業の経営者や営業担当者は常に、どうやったら売上を伸ばせるかということを考えていると思います。

一つの質問は、買いたいと思っていない顧客に無理矢理買う気を起こさせるのが簡単か、またはすでにぜひ買いたいと思っている顧客に簡単に買う手段を提供するのが簡単かということです。

答えは明らかですよね。

でもどうやってその手段を提供するかということについてスタンフォード大学で「物事の小さな習慣化」を研究しているB.J. Fogg(フォッグ)博士の本よりヒントを見つけてみました。

なぜ赤十字に即座に寄付したか

ある日フォッグ博士がスポーツジムで運動をしている最中に博士のスマートウォッチにテキストメッセージが入ってきた。

メッセージは赤十字からのものでハイチでの大地震の被害にあった人たちの救済のために寄付してくれないかというものだった。

フォッグ氏はすでに赤十字のアカウントに自分のクレジットカードは登録してあったのでスマートウォッチへのワンタッチですぐに寄付することができた。

寄付した理由の三つの要因

B.J. Fogg博士の2019年に刊行された「Tiny Habits(小さな習慣」という本の中での一節ですが、フォッグ博士はこの、自身の購買行動の原因を三つのステップに分析しています。

この著書の中で「小さな習慣」をつけるための三つのステップ、いわゆるMAPステップというものに沿っているというわけです。

M=Motivation(動機)
A=Ability(能力)
P=Prompt(きっかけ)

この赤十字からの寄付の要請ではこの三つのステップを満たしています。

MとPは自明。つまりハイチでの大災害があったのは分かっていたため助けてあげる意図はあった。またきっかけとしては赤十字社からの要請があった。

問題になるのはA、能力なのですがもちろんFogg博士には多少の寄付をするだけの金銭的な余裕はあります。ただ、ジムのランニングマシーンで走っている最中に即座に寄付という行動を起こせる能力を赤十字社側で用意してくれたというところがこのキャンペーンのミソになります。


もしテキストメッセージでなく電話や郵便だったら?

もしこれがテキストメッセージでなくて電話だったらどうでしょう?スマホは車の中に置いてきてしまっているので電話があったことはわかりません。後になって着信メッセージを見てもそれで寄付の要請に折り返し電話をし、その電話でクレジットカードの番号をあげて寄付するという人はおそらく何人に一人かになってしまいます。

また自宅にダイレクトメールの郵便でこの寄付のリクエストが送られてきたら?まずかなりの人はこれが迷惑郵便だと思ってそのまま捨ててしまうのではないでしょうか。もし郵便を開けたとしてもそれを読んで返信用の部分だけを切り抜きそれにクレジットカードの番号を記入するか小切手を同封して返信用の封筒で郵便箱に入れるというところまでの行動にはかなり面倒くさいステップがいくつもあります。

これをする人でもやはり10人に1人ぐらいに減ってしまいそうです。

これに比べて今回の赤十字社のテキストキャンペーンではステップが一つだけでした。既に赤十字社のアカウントを持っておりクレジットカードを登録してあるという前提ですがFogg博士がとった行動はスマートウォッチのイエスという答えをクリックし金額を入れるという二つのステップに過ぎませんでした。

このテキストキャンペーンは大成功を収め、最初の24時間で300万ドル以上、週明けには2,100万ドル以上の寄付金が集まりました。

顧客はあなたの商品やサービスを買えないのかもしれない

この例の他にも例えば商品やサービスを買おうと思っている顧客が実は買いにくいために諦めていたという例は数多くあります。

例えば、インターネットのクラウドサービスの例で、どうして無料で使っていたユーザーが有料プランにほとんど切り替えてくれないのかという疑問がありユーザー調査をしたところなんと

90%のユーザーは有料プランがあることを知らなかった!

という結果が出た例もあります。

何かを買いたい人が買えるための最短のステップを考えよう

この記事ではユーザーまたはお客様が募金という行動を通じて何かを買う時に、非常に摩擦が少なく簡単に決定してお金を払うことができた例をあげました。

もし売上が上がっていないという場合商品・サービスそのものが悪いという結論を出してしまう前に、そもそも少しでも買いたいと思ったお客様が簡単に購入できる仕組みができているかを考えてみる必要があります。

何かを買う時のお客様の脳は直線的に考えて購買判断をするわけではありません。購入プロセスで、二つ又は三つの段階を経ることが多く、実際に物を購入する前にはジグザグ経路をたどることもあります。

それを実際に辿ってみることによって、例えばお客様がウェブサイトで商品を購入する際の摩擦を減らし、そのいくつかのステップを段階をなるべく早く通過できるような分かりやすい経路を作ることが必要です。




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