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44歳、これからをどう生きるか〜『16歳からのライフシフト』を読んだ考えた話

2017年に出版された『LIFE SHIFT』は、72万部を突破するベストセラー。
時を経て意外な形で出逢うことになった。

高校生向けキャリア授業のデビューにあたり、『16歳からのライフシフト』を自分の中の課題図書に置いた。さすがに読みやすい。2時間で読了。

私には子どもがおらず、仕事で学生と関わることもほぼない。
今回、代打で引き受けたキャリア授業のために手にした本だったが、思わぬ収穫があった。異世代理解を深める糸口になったことに加え、自分のこれからを考えるヒントをもらえた。

44歳の私が読んで感じたなるほどポイントを紹介したい。


①3世代の比較で異世代への理解が深まる

2024年現在の16歳は2008年生まれ。
事例にあがるのは、読者対象となる高校生より少し上の1998年生まれ、その親世代の1971年生まれ、さらにその親世代の1945年生まれ、の3世代だ。
私は1979年生まれなので本の中で描かれる親世代の事例が当てはまる。
就職氷河期と呼ばれる激戦を経て社会に出たものの、昇給も昇格も遠かった平成時代。
戦後の高度経済成長を経験し、国や会社の補償も手厚かった昭和世代の親とは異なる価値観や戦略が必要だった。
そして人生100年時代が当たり前となる高校生は、社会の仕組みも価値観も違って当然だ。

世代間コミュニケーションを円滑にするには、個性への理解も必要だが、育ってきた社会の背景を理解することが最初かもしれない。そもそも異なる時代を生きているのだ。

②100歳まで生きることの捉え方が変わる

100歳まで生きる、と聞いて何を考えるか?

「年金受給までまだ何十年もある。もらえるのかどうかも不安。」
「早期退職して、起業にチャレンジするか!」
「老後は旅行でもしてゆっくりすごしたい。」

長生きの可能性をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか。
私は太く短く生きていく方針なので、100歳まで生きる可能性が高いと言われて正直ビビっている。
正しく言うとビビっていた。しかしこの本を読んで少し捉え方が変わった。

長生きリスクに備えようとして、貯蓄や投資がにぎわっている。
備えは重要。だが健康寿命も伸びている今とこれからを考えると、老後資金の前に、老前期間をどう生きるかを真剣に考えることが先だと気づく。
この本の主題はここにあると考える。

③時間とお金の使い方への意識が高まる

常々、時間とお金の使い方が人生の豊かさを決めると考えている。
本書では、有形資産と無形資産、さらには無形資産を3つに分けてその重要性が語られている。
有形資産とはお金で買えるもの、家や車、現金などを指す。
無形資産とはスキルや健康、人間関係など、市場で売買できないものを指す。
3つの無形資産についての説明は割愛するが、おもしろいのは、世間の評判も無形資産に分類されていること。
評判は人間関係から発展するものなので当然だが、資産や自分の価値を高めていくためにも人間関係や信頼が重要と書いてある。

100歳まで生きるとして、健康に過ごせる期間をどうマネジメントするのか。
限られた時間やお金をどのように配分して資産を育てていくか。
もしこのような考え方を16歳からできていたら、あとの84年の豊かさは計り知れない。

④100歳まで生きるために何をすれば良いか考えるきっかけを得る

ここで再び3世代の話に戻る。
私の親世代が考えるべきは、老後の過ごし方。
子ども世代が考えるべきは、100歳までのライフプラン。
そして私の世代が考えるべきは、雇用の流動性や働き方の多様化が主となった今に、どう変化適応していくか。

これまでは就職した会社で定年まで勤めるワンステージだったが、1社で勤め上げることは難しく、何社も、そして起業なども含めいくつかの働き方を経験することになる。本書ではこれをマルチステージと呼んでいる。

この時代を生きるうえでのポイントは余暇の過ごし方だ。単なるレジャーやリフレッシュのためのレクリエーション(娯楽)ではなく、リ•クリエーション(自己の再創造)、つまり自己変革、自己研鑽へ投資できることが、大きな差となる。

私たち世代は特に、余暇の過ごし方が大きく変わってきた世代ではないかと思う。「仕事のあとは一杯飲みに」行っていた人たちが、資格の勉強などに取り組んでいる。会社以外のコミュニティ活動に参加をしている。

⑤次の時代を担う若者への接し方が変わる

①から④まではベクトルが自分に向いていたが、最後に、次世代へと目を向けたい。
近年、Z世代とのコミュニケーションに悩む声を多く聞く。異なる社会背景を生きてきた3世代が混在するがゆえに当然のことだ。
価値観、働き方、暮らし方、すべてが多様化していく。

①で書いた異世代への理解をベースとして、私たちが渡せるバトンは何か、そして彼らから学べることは何か、を考えることが44歳からのライフシフトに大いに役立つ。

例えば今から20年後を想像してみよう。
64歳の私はきっと何かしら仕事をしていることだろう。かろうじてITを使いこなし、まだまだ社会の一員を担っている。「昔はね」なんて言いながらも、自分が持つ知恵を贈りたいと思い、活動していることだろう。もしくは海外でのんびり暮らす世界線もあると信じている。
その頃、16歳の高校生は36歳になり社会を担うメイン層となる。
変化を前提とした世界を生きる彼らから「使えないおばさん」と言われないためにも、まずは自己理解と他者理解、そして異世代とのコミュニケーションから学び、考えや行動の柔軟性をもつことが処世術となるのだ。

44歳からのライフシフト

5つのなるほどポイントを紹介した。
今ここからどう生きるか。
人生の後半戦をどのようにマネジメントしていくのか。
本から受け取ったメッセージへのアンサーとして、私が取り組もうと考えたことが2つある。

★資産を増やし、価値を高める
本当にやりたいことに着手する

★資産を増やし、価値を高める

社会に出てからの22年は、これまで貯めた有形資産・無形資産で生きてきた。「やりたい」ことができない環境もあったが、「求められる」ことに応えようと「できる」ことを増やして「やりたい」仕事につなげてきた
今は幸運にも「できる」「やりたい」「求められる」仕事でお金をいただいている。
まさか鹿児島で暮らす(しかも起業する)とは思わなかったが、生活スタイルとしては遠からず、思い描いたようになっている。

しかし今の状態に安住していると資産が枯渇するのは目に見えている。身体的能力が衰えていくのは確実なので、普通に暮らしていても増えるものよりは減るものの方が多い。30代までの学びとこれからの学びは速度や種類が異なってくる。
手堅くこれまでの延長線上にある学びで専門性を伸ばすことと、まったく異なるジャンルの学びで守備範囲を広げること、このそれぞれに取り組めば、変化への対応もスムーズになりそうだ。

私の世代はAIを使いこなせるかどうかが分かれ目、という声が多い。少し前はITを使いこなせるかどうかが分かれ目だった。これからはデジタル機器を操作できるだけでなく、デジタル機器やAIツールを何のためにどのように使うのかによって価値が変わるのだ。
ちなみにこの文章はAIに書かせてはいない。

★本当にやりたいことに着手する

社会自体がこれまでの延長線上にない変化の時代。私たちの人生だって、これまでの延長線上になくてもいい。
今日まで「社会が」「親が」「周りが」と言って心に閉じ込めていた「本当にやりたいこと」「死ぬまでにやりたいこと」にそろそろ着手してもいいのではないか。

何をやっても、またはやらなくても、とやかく言う人は言う。応援してくれる人もいる。
まずは自分自身がこれまでの固定観念に縛られずに、純粋にやりたいと思うことにチャレンジすればいい。

2024年はワーケーションをテーマにおいて、場所の自由に挑戦する年にしている。3月にハワイに行った。コロナ明けの最初の海外渡航だった。思い描いていたハワイと現地で体感するハワイは違った。実際に行ったから分かったことだ。
他にも、月に1回のペースで国内出張をしている。自分が暮らす街を離れ、異なる文化圏で生きる人との交流はおもしろい。机上の学びでは得られない価値がある。

いろいろな世界を見て、得た知見から、2025年は再び出版に取り組みたいと考えている。生きている間にどれだけの経験ができるか、その経験を形にして社会に残せるか、が私の生きる意味だ。


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