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【エッセイ】伏線回収

ドラマや小説では、前半に登場した言葉や動きがヒントや手掛かりとして後半に回収される。

僕はこの「伏線回収」が大好物。特にミステリー小説は、伏線を回収するために読んでいるといっても過言ではない。伏線回収オタクなのだ。そもそも「伏線回収」という字面に美しさを感じる。

何度も声に出したい言葉ランキングトップ50には入る言葉の響きでもある。伏線回収という言葉の発明者に拍手をおくりたい。伏線回収ラブ。

最近では、伏線回収にハマるあまり、何もかもが伏線に思えてしまう。ドラマを観ていると、あの後ろにある絵にはどんな意味が…?登場人物が身につけている時計にはきっとこんな伏線が… この服装の色遣いはきっと伏線に違いない…

伏線中毒の禁断症状のようだ。もはや脳内で勝手に伏線を自動生成してしまっている。決して回収されることのない、ただの伏線。期待するだけ期待して、回収されなかったらガッカリする。この伏線のバカ!

伏線回収メンヘラの出来上がりである。

他人の作った伏線を回収するのもいいけれど、自ら伏線回収するのもいいもんだ。俗にいう「伏線回収オナニー」ってやつ。

日々の行動に対し、何かと伏線をちりばめ、回収する日々。旅先や身につけるアクセサリー、日々の発言、SNSでの発信などに伏線が潜んでいる。

誰かが言っていた「人生は伏線回収の人生である。」と。

「目標を達成する!」とか「夢を叶える!」とかありきたりな言葉はもう飽きた。だったら伏線回収の方がかっこいいし、それっぽい。セクシーだ。

かのスティーブ・ジョブスは、伝説のスピーチで有名なフレーズを残した。

「Connecting the dots(点と点を繋げる)」

点と点が繋がるように、人生は繋がっているということ。彼は伏線回収について言及していたのだ。他にも、名君で知られる米沢藩主の上杉鷹山はこんな言葉を残している。

「為せば成る、為さねば成らぬ。何事も成らぬは人の為さぬなり。」

伏線回収に言及している。伏線を張らない限り、回収できないのだと。

このエッセイも一つの伏線。小さな伏線から大きな伏線まで、とにかく伏線をはりまくる。

伏線が回収されるその瞬間。全てがわかる時がくるだろう。

「あーそういうことだったのか。」と。

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